【歌い手】＿きみのいろ＿#4【ROC】

178話　 ページ50

そんなことがあったのはあと１時間で学校が終わって放課後になるって時で
だから俺はそのあとすぐ部活で先輩に会ってしまう。

うれしい気持ちには変わりないのに。


れ「リオ大丈夫?ごめん、あたしなんかしちゃったか?」

ｋ「違うよ、れいるはすごいよ、えらいよ、かっけぇよ」
れ「えっえっ?ありがと、えっ?」

浮かない顔のまま渡り廊下を通って部室へ行った。
茶道部の前を通る途中、ふと、そらるさんの言っていたことをぼんやり思い出す。


―――見栄っ張り


ほんとは、思ってるんだ

なんでれをるは急に先輩に話しかけられるようになってるの
俺のいないところでいつの間にそんなに強くなっちゃってるの
俺がこんなに戸惑って混乱してるのはれをるのせいだよ

どうして俺はこんなにれをるがいないとさみしいの


こんなこと、かっこ悪くて、言えるわけないんだ


あいつが１人で立てるようになったことを実感する度に襲われるこの寂しさはいったいなんなのか


誰かに話してわかってもらえるようなもんでもないと
そう、勝手に決めつけてしまう。だってそうに決まってるって


だけどそんな風にしていつまでも進めずぐずぐずしている自分に
もっともっとイライラして、どうしたらいいかわかんなくて


れ「こんちはー」
ｋ「っす」

部室に入ると、まだ髪の塗れたA先輩とゆりんくんと夏代くんがいた。
けけさんと花さんはいない

この寂しい気持ちを離せる相手が、今は、いない。



ゆ「お〜久々に２人そろってるの見た気がする」
れ「そう?」
ゆ「うん」

やっぱりれをるはとても自然に、夏代くんとゆりんくんのそばに行ってしまった。
リュックに入っている3DSが悲しむなぁ。今日は出番がなさそうだ。

れをるはもう俺のことなんか必要ないのか―――……



『くーらーくん、飲み物買いに行くの付き合って』



突然腕をつかまれて、リュックを背負ったA先輩に引っ張られて
俺は階段を下りていって

気が付いたら、先輩と２人、空き教室にいた。



ｋ「え、あの先輩、」
『はいこれ、どうぞ。』

そういって差し出されたのは


ｋ「…オレオ?」

『前誰にもないしょだよって言ったでしょ?これ持ってるのは２人だけの秘密だよって』

(２人だけの秘密…)

『とにかくまず甘いものでも食べてもらおうと思ってさ』


笑って「はいどーぞ」と差し出されるオレオ。
心配してくれたんだ、心配してもらえてるんだなぁって、あったかい気持ち。



『あのね、話してみてほしいな。』

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