【歌い手】＿きみのいろ＿#4【ROC】

148話 ページ19

松下もりょーくんもりぶくんも
私の近くのひとはみんな“恋愛”がとても感情に、日常に響いている

好きな人と話した日は調子がいいとか
好きな人と話せなかった日は次の日が待ち遠しいとか

もちろんいいことばっかりじゃないところも含めて、恋愛って今くらいの私たちには大切なのかな

そう思うと、きらきらしたりぶくんがうらやましく見えた。

(これがいわゆる、恋に恋してるってやつなんだろうな…)



がしっ



『わっ』

「なーんーでーぬーぐーのー?」

ごつい手が頭をつかむ。ぐしゃぐしゃにされながら夏代くん帰ってきちゃったーなんて。

夏「脱ぐなって言ったよ?僕言ったよね?」
『痛い痛い』
夏「現にお前今ちょっと透けてるからな」
『痛い痛…えっ』

思わず下を見る。
暑くてキャミソールも着ないから、確かにうっすら透けて見えた。
汗かいてるからってのもあるだろう。

夏「わかったら着ろ。今すぐ!!」
『はーい』

着るとすぐ、汗をかいたシャツが体に張り付いた。
気持ち悪いけどやっぱり見えちゃうのはちょっとまずい。

夏「暑かったら僕がスカートぱたぱたしてあげるから、ね?」
『ね?じゃないよ』

り「俺も俺も、ね?」
『便乗やめなさい』

「ちぇー」って目を合わせる２人を小突きながら、地味に反省する。
ほんとに見えてたんだなぁとか、夏代くんのいうことちょっとは聞いたげようとか。


蒸し暑いなぁと見上げた窓の外が、朝よりも曇っているのが見える。


.









.









.


「なんか暗くない?」

ケータイをいじりながら、天月くんが言った。

ま「そう?」
ゆ「暑いのは変わんないじゃん、いっしょだよ」
天「も〜ゆりんはそういうとこ雑だよね」

テストが終わってみんな勇ましく部活に行ったっていうのに、僕ときたら…

――僕の服にしてはやや派手目なＴシャツを広げて眺める。

天「何?それじゃ不満?」
ゆ「いや、あんま普段着ない感じだから」

全体としては星条旗をイメージされたそれは
片方のそでが青地に白い星柄、あとは全体として太めの赤と白のストライプ。

ま「大丈夫!!ゆりんくんなら似合うよ、かわいいもん!!」
ゆ「誰のせいだよまったく」

びしょ濡れの学校指定のシャツを脱いで、机に広げた派手なシャツに手を伸ばした時だった。


『あのーゆりんくんいませんかー…』


開けっ放しだったドアからひょっこりAが顔を出す。
上半身裸の僕を見てかたまって、後ろから夏代が「どした?」と出てきた。


(最悪。)

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