455話 ページ47
僕の気のせいかもしれないけど
先輩はここ最近ずーっと、僕と、僕じゃない人のことを話す。
例えば孝明、例えばけけさん
『…そっか』
例えば僕の中にいたという、別の人格たち
思えば時々、先輩が僕の目を見て何かを探すみたいに瞳を揺らすこともあった。
僕はというと、空白の時間や足りない思い出に、漠然とした不安を抱えている。
僕が僕じゃない間
何があって、何をしたのか。
E「あるけど、でも、僕はけけさんが好きだし、優しい人なのも知ってるから
だからそばにいたいとも思いました」
訊けばみんなが教えてくれるのはわかっているけど
もしそれを聞いたとしても、まったく実感が沸かないだろう
まして僕自身の記憶として――思い出として、留めておくなんてことは絶対にできない
『けけさんを怒らせちゃったの。もう口もきいてもらえないかもしれない』
(先輩は他の人のことばっかりだね)
E「大丈夫だよ、ちゃんと謝るチャンスもらえますよ」
だから、この漠然とした不安を、受け止めてほしいなんてわがまま言わないから
せめて目をみて僕をみて、話がしたいのだ
僕の中にいたやつらは、どんなふうで、なんて言っていたの、って。
ぽっかり穴が空いたみたいな心の隙間をうめたくて、もがいている
『ほんとに?』
E「ほんと。」
どうしたら僕といっしょにいてくれるだろう。
.
.
.
真っ暗な部屋の中
(朝…じゃ、ないな)
水の中にいるみたいに、静かで温くてしっとりした空気が満ちている。
カーテンを閉め忘れた窓から、月の光がぼんやり差し込んで、現実味がない。
時間をみようと枕もとのケータイを点けようとして、ポコン、と音がした。
こんな時間にいったい誰だろう?
《起きてる?》
上半身を起こして、起きてるよ、と返す。
「ベランダ出られる?」って訊かれたのにはさすがに驚いたけど
妙に目がさえてきたし、何かあったのかもしれないとも思って、ベッドから降りた。
『あ、花さん片付けてくれたんだ…』
__寝る前まで、お菓子を少し広げて女子会をしていた
最初にれをるちゃんが寝落ち、やがて私も眠ってしまったのだ。
明日お礼を言わなくちゃと2人の並んで寝る方を見たら、枕もとに開きかけの参考書があった。
音をたてないように、かつなるべく細く窓を開け、さっと外に出る。
パジャマの上にセーターを羽織ったけれど
それでも耳がきぃんとなるくらいには、外は寒かった。
雪は、そういえばやんでいる。
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モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - アゲハさん» コメントありがとうございます、いつもうれしいです!まさかそこ好きって言われると思ってなくて動揺しました(^-^) (2017年8月10日 13時) (レス) id: 1b9f958ee6 (このIDを非表示/違反報告)
アゲハ(プロフ) - #10、お疲れ様でした!毎度思いますがあとがきすっごくすきです…!!これからもお話楽しみにしてますね〜(*^^*) (2017年8月10日 3時) (レス) id: 375e43bb38 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - りゆみさん» コメントありがとうございます、長らくお読みいただいて嬉し恥ずかしです!!(*´-`)ここのとこ暗い雰囲気続いてますが楽しんでいただけたら幸いです~◎ (2017年8月1日 16時) (レス) id: f70edfb1d2 (このIDを非表示/違反報告)
りゆみ(プロフ) - 初期の頃からずっと見てます!もう、本当に面白くて占ツク作品の中で一番好きです!!そして最近の夢主ちゃんとその周囲(特に3年組)の絡みが物凄く楽しくていつも応援してます!!!これからも頑張ってください♪ (2017年7月31日 1時) (レス) id: 9710d00091 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - キットカット(紅芋味)さん» コメントありがとうございます!!はいもう…気がついたらこんなに時が経っておりました…(笑)もう少しお付き合いください(^-^) (2017年6月21日 6時) (レス) id: f70edfb1d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モノクロメロディ―。@ついった | 作成日時:2017年6月20日 20時