450話 ページ42
要するに俺があいつに感じている嫌悪感は
端的に、わかりやすく、率直に言えば、ただの嫉妬だ。
嘘をつくやつが嫌いだった
“しんくんが好き”だなんていう嘘をついて近づいてくるやつが山ほどいたから
結局どいつもこいつも、俺の近くにいる、例えば兄貴、例えば花に興味があって
俺はただの足掛かりでしかなかった
それでも俺は
__だからこそ俺は。
れ「けけくん、あのね?」
部活に‘うそ’をついて入ってきたこの男が、最初から気にくわなかった。
れ「あたしもね、思うよ、好きなひとに嫌われるのいやだよ」
一緒にいる時間が増えれば増えるほど
自分から何か積極的に動いているわけじゃないのに、人があいつの方へ寄って行くのがわかって
れ「だからあたしは好きなひとを大切にするよ。…リオにするみたいに」
羨ましく思った
れ「友達にするみたいに。」
“なんであんなやつが俺のそばに来ちまったんだ”って。
れ「友達を大切にできないひとが、好きなひとを大切にできるわけないじゃない」
(強いよなぁ…)
どこで教わるんだろう。たぶん、教わらないだろう。
この子は、でも、きちんとわかっている。
‘友達’と‘好きな人’との大切にするやり方は、もちろん、全然違うと思う
それでも
れ「押し付けちゃいけないんだよ」
根っこのところは―――間違えてはいけないところは、たぶん同じだ。
.
俺の部屋に、ゆりんくんと夏代が呼びに来てくれた。
家の風呂は別荘みたいに、いっぺんに5人も6人も入れる広さではないので
かくれんぼが終わったら、女子、次にしんといぶくん、最後に俺ら、という順で入ることにした。
くーらーくんは、やっぱりあとで1人で入るそう。
夏「背中流してやろうか」
ゆ「いーよ、お前痛いんだもん」
夏「何が?」
ゆ「タオルでごしごしやるときの力だよ」
そんなふうにじゃれあうのをよそに
さっさと全身を洗って湯船に浸かっていた俺は、ぼんやり2人を観察していた。
いつもふわふわなゆりんくんの茶髪が、ぺしゃっとなって、長い横の毛が頬に張り付いている
__のを、耳にかけた拍子に、いっぱいに空いた穴がのぞく。
「前髪伸びたなぁ」とかきあげながら、夏代がバスタブの方へ来た。
K「ねぇ、」
顔を洗っている、白くて細い背中のゆりんくん。
夏「僕ですか?」
K「どっちも」
家主の俺が軽い体操座りで肩より下くらいまで浸かっているのに対し
お客にあたるあいつは、縁にもたれて天井を仰いでいる。
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モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - アゲハさん» コメントありがとうございます、いつもうれしいです!まさかそこ好きって言われると思ってなくて動揺しました(^-^) (2017年8月10日 13時) (レス) id: 1b9f958ee6 (このIDを非表示/違反報告)
アゲハ(プロフ) - #10、お疲れ様でした!毎度思いますがあとがきすっごくすきです…!!これからもお話楽しみにしてますね〜(*^^*) (2017年8月10日 3時) (レス) id: 375e43bb38 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - りゆみさん» コメントありがとうございます、長らくお読みいただいて嬉し恥ずかしです!!(*´-`)ここのとこ暗い雰囲気続いてますが楽しんでいただけたら幸いです~◎ (2017年8月1日 16時) (レス) id: f70edfb1d2 (このIDを非表示/違反報告)
りゆみ(プロフ) - 初期の頃からずっと見てます!もう、本当に面白くて占ツク作品の中で一番好きです!!そして最近の夢主ちゃんとその周囲(特に3年組)の絡みが物凄く楽しくていつも応援してます!!!これからも頑張ってください♪ (2017年7月31日 1時) (レス) id: 9710d00091 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - キットカット(紅芋味)さん» コメントありがとうございます!!はいもう…気がついたらこんなに時が経っておりました…(笑)もう少しお付き合いください(^-^) (2017年6月21日 6時) (レス) id: f70edfb1d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モノクロメロディ―。@ついった | 作成日時:2017年6月20日 20時