【歌い手】＿きみのいろ＿#10【ROC】

445話 ページ37

戻ってきたときには、花さんが小さい紙袋を持っていた。
なんでわざわざ３人で行ったのかな?

『夏代くん、ゆりんくん』

呼ばれたふたりが、顔を見合わせてから先輩の前に並ぶ。
「手ぇ出して」と言われ、孝明は片手、ゆりんくんは両手をそろえて広げた。

『はいっ、メリークリスマス。』

(えっ!?)

展開についていけず、なんであのふたりが先輩に、ってもじもじしていると
肩を控えめにつつかれる。振り返ると

ｋ「俺られいるからもらえるよ」

こそ、っと。言われた。

そんなわけでちゃんくらと２人、仁王立ちのれをるの前に並ぶ。


れ「…Aちゃんじゃなくて悪かったね」

ｋ「いえっ」
Ｅ「とんでもないですっ」

“ドン”と胸に押し付けられる、ちょっとしたラッピングもされた、ブレスレット。

どうも９人が９人とも違うデザインになっていて
うれしいなぁなんてうっとりしていると、どうやら全部手作りらしい。

Ｅ「れをるー」
れ「うん?」
Ｅ「ありがとうね」
れ「…おう」


隣の席の、小さい同級生に、胸いっぱいに感謝した。


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宅配で来たピザやチキンや、花さんがつくってくれたおいしい野菜のスープ、
私たち３人で買ってきたジュースやケーキなんかを

それはもうにぎやかに、どんどん食べてどんどんしゃべった。

(そろそろけけさん探し出すころかな)

夏代くんはいつも以上に調子にのっていたし
くーらーくんとれをるちゃんも便乗して、楽しそうだった。

けけさんとしんさんもよく話した、間に座っていたいぶくんに耳打ちしては
ニヤニヤしたり、くすくすしたりして、とにかく笑っていた。

気にして見ていたからか、いぶくんとよく目が合った。

目が合うと「ん?」みたいに首を傾げたり、眉を持ち上げたりするから
ピザ取ろうか、とか、ジュースおかわりは?、とか言って


しんさんばかり見ていたことを、誤魔化した。


『ここ入れるかなー…』

そんなこともあったけど、何はともあれ、今はかくれんぼ真っ最中。

(今度はちゃんと隠れないとね)

夏合宿のときと同じ失敗はすまい。
いろいろ考えて、部屋を見ていった結論が、けけさんの部屋の机の下。

大きくて立派なそれの下は、私が入ってもなお十分にイスを収められるくらい広い。
これならいるってばれないはず

かがんで中に入ろうとした時、

(ん?)

『ノート…か、これ。』

見るからに無印っぽい、タイトルも何もないリングノート。

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