426話 ページ18
(いつがいいかなー…)
左手に財布、右手に箱ジュース2本。
わざわざあったかいのを買ってきたのに、どっちもとうに冷めてしまっている。
本棚のかげに隠れて、しゃがみ込むこと早十数分
__思えば、隠れてしまったことが1番の間違いだったわけですが。
戻ってきて最初に聞こえたのは、一生懸命にしゃべるAの声だった。
ひっきりなしに、隙間を空けないように
あんなふうに話しているあの子は初めてだったみたいに思う。
ひとりで何を、と思ったら、ややあってしんさんの声がして。
しゃべるのが好きとか聞き上手だとかそうじゃないとか
―――苦手でも好きってこともあるだろ
(それはまぁ、わかるけど)
なんにせよ、依然続くいい雰囲気の会話の中に、いつ割って入って行けばいいのかを
僕は未だにここで考えあぐねているわけなのだ。
ていうかAってば僕のことすっかり忘れてないか?
S「ゆりんの前でも泣いたりすんの?」
『しませんよっ』
S「しないの?」
『あんなふうに泣いたのって…たぶん、ちっちゃい時以来です』
えぇい、行っちゃえ!!
ゆ「あれー、人が増えてるー」
案の定、Aがだいぶ驚いたような顔でこっちを見る。
ほれみろやっぱり忘れてた。
S「お邪魔してま〜す。久しぶり」
ゆ「めっちゃ久々じゃないですか」
S「うん。半ケツと俺の腿に乗るのどっちがいい?」
ゆ「追加でイスを持ってくるっていう選択肢は」
S「ござーせん」
(…なんか雰囲気変わったな、しんさん)
こんなに優しそうに笑う人だったっけ
首をひねりながら「半ケツで。」と言ったら、実際は3分の2ほども開けてくれたことに、また驚く。
もちろん僕は半分しか使わないんだけど。
『ありがとー、これ110円のやつだよね』
僕からジュースを受け取り、財布を取り出すAに
別にいいよって止めると、すぐ横から茶々が入った。
もしかしたらしんさんは、僕がずっと隠れていたことに気づいていたかもしれない
.
結論から言えば、それからの1時間弱は、これ以上ないってくらい居心地がよかった。
夏代が帰ったから2人きりってうきうきしていたところに
思わぬなんとやら、とか、わりと失礼なことを考えていた僕は
どこかいつもと違ってはしゃいだふたりと、いっしょにはしゃいでしまったのだ。
なにより最後――昇降口で別れる時に
部活に来て欲しいと言った僕とAを両腕で抱き寄せて、つぶやいた
ことば
「お前らみたいのが兄弟ならなぁ」、って。
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モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - アゲハさん» コメントありがとうございます、いつもうれしいです!まさかそこ好きって言われると思ってなくて動揺しました(^-^) (2017年8月10日 13時) (レス) id: 1b9f958ee6 (このIDを非表示/違反報告)
アゲハ(プロフ) - #10、お疲れ様でした!毎度思いますがあとがきすっごくすきです…!!これからもお話楽しみにしてますね〜(*^^*) (2017年8月10日 3時) (レス) id: 375e43bb38 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - りゆみさん» コメントありがとうございます、長らくお読みいただいて嬉し恥ずかしです!!(*´-`)ここのとこ暗い雰囲気続いてますが楽しんでいただけたら幸いです~◎ (2017年8月1日 16時) (レス) id: f70edfb1d2 (このIDを非表示/違反報告)
りゆみ(プロフ) - 初期の頃からずっと見てます!もう、本当に面白くて占ツク作品の中で一番好きです!!そして最近の夢主ちゃんとその周囲(特に3年組)の絡みが物凄く楽しくていつも応援してます!!!これからも頑張ってください♪ (2017年7月31日 1時) (レス) id: 9710d00091 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - キットカット(紅芋味)さん» コメントありがとうございます!!はいもう…気がついたらこんなに時が経っておりました…(笑)もう少しお付き合いください(^-^) (2017年6月21日 6時) (レス) id: f70edfb1d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モノクロメロディ―。@ついった | 作成日時:2017年6月20日 20時