424話 ページ16
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「『あれ』」
沈黙。
午後から強くなった雨の、地面に叩きつけられている音だけがしばらく響く。
S「さっきぶり」
『さっきぶりですね』
いったん会ったら、急に遭遇率あがりだしたな
しかも、ゆりんくんがつい先ほど席をたったばかりの、このタイミングで。
S「ゆりんちゃんと勉強?」
『はい』
夏代くんはお母さんから早く帰ってくるよう言われていたらしく
夏「いいか、勉強だけしとけよ、帰りに2人でミスドとか寄るなよ、勉強だけな!!」
と、くぎを刺して学校を出て行った。
だから今日は2人で、図書室の奥の方にある、例の静かなスペースでやることにしたのだ。
『よくわかりましたね』
S「筆箱と荷物見りゃわかるよ」
私の向かい側、ゆりんくんがさっきまでいたイスに座って言う。
『私のもわかったりします?』
S「たぶんな」
『やったぁ』
__今日の昼休み、知らない3年生の先輩たちに呼び出された。
4人の女子の先輩。自分の教室の外で「あなた進藤くんの何?」と訊かれた。
『そういえばなんでこんなとこ来たんですか?』
S「時間空いたから寝ようと思ったんだけどさ。
ここ静かで人も来なくていいじゃん?まさか先客いるとはね」
部活の後輩です、と答えると「どうして朝いっしょに登校してたの?」と続く。
『ゆりんくんが見つけて教えてくれたんです』
S「ふーん。やるじゃん」
『?』
雨の中で傘を持ってなかったから、声をかけて、それで学校まで行きました
――他に答え様が、私にあったのかは、今になってもわからないけど。
S「言っとくけど予備校だからな」
『あっ、そ、そうですよね…』
S「まぁ朝のあれ聞いたらお前が‘そう’思う方が自然だけどな」
「どうして進藤くんあなたの傘に入ったの?」って訊かれた時は、さすがにどうしようかと思った
(どうしてって言われてもなぁ)
失礼ですけど、それは今私の目の前にいる、本人に訊いてみてはいかがでしょうか
…なんて挑発的なことはまさか言ってない。
しどろもどろしているところを、りぶくんが助けてくれた。
最終的に‘挑発的なこと’を先輩たちに言ったのも、りぶくんだった。
(みんなしんさんが好きなんだなー)
進みの遅い問題集に目を落す。
頬杖をついて、くるくるシャーペンをまわしてみる。ゆりんくん帰ってこないな〜
“人を好きになるとなりふり構わなくなる人もいるんだよ”と言って、苦笑したりぶくん。
S「それやめて」
ペンを回していたのを手の甲ごと包まれてしまう。
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モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - アゲハさん» コメントありがとうございます、いつもうれしいです!まさかそこ好きって言われると思ってなくて動揺しました(^-^) (2017年8月10日 13時) (レス) id: 1b9f958ee6 (このIDを非表示/違反報告)
アゲハ(プロフ) - #10、お疲れ様でした!毎度思いますがあとがきすっごくすきです…!!これからもお話楽しみにしてますね〜(*^^*) (2017年8月10日 3時) (レス) id: 375e43bb38 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - りゆみさん» コメントありがとうございます、長らくお読みいただいて嬉し恥ずかしです!!(*´-`)ここのとこ暗い雰囲気続いてますが楽しんでいただけたら幸いです~◎ (2017年8月1日 16時) (レス) id: f70edfb1d2 (このIDを非表示/違反報告)
りゆみ(プロフ) - 初期の頃からずっと見てます!もう、本当に面白くて占ツク作品の中で一番好きです!!そして最近の夢主ちゃんとその周囲(特に3年組)の絡みが物凄く楽しくていつも応援してます!!!これからも頑張ってください♪ (2017年7月31日 1時) (レス) id: 9710d00091 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロメロディ―。(3人目)@ついった(プロフ) - キットカット(紅芋味)さん» コメントありがとうございます!!はいもう…気がついたらこんなに時が経っておりました…(笑)もう少しお付き合いください(^-^) (2017年6月21日 6時) (レス) id: f70edfb1d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モノクロメロディ―。@ついった | 作成日時:2017年6月20日 20時