SHORT STORIES from THE RAMPAGE

▽(後日談) ページ3

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「ふふっ。」

「うわー。」



振り向くとジト目でこっちを見てる北人さん。



「なんですか。」

「そういうことしてるからムッツリって言われるんだよ。」

「いいです、別に。」



そう、俺は今、前回の休日に撮った動画を見ている。

画面上は遊んでるマースと俺の手だけど、音声にはAの声がしっかり入っている。



《ねえ、樹聞こえてる？》


「ふふっ。」


思わず笑いが溢れちゃう。

聞こえてるけど、聞こえてないフリしてた。


だって、Aはなかなか「樹」って呼んでくれない。出会った頃から「いっちゃん」だし、それなりに長いし、仕方ないけどさ。


で、俺は知っている。


俺の反応が薄いと、かまって欲しくて「いっちゃん」から「樹」になることを。


だからマースしか見えてないフリしてた訳。


作戦も成功してしっかりと保存出来たし。



「なんすか。」



今もまだジト目でこっちを見てる北人さん。


ていうか、



「リア充爆発しろーーーーーっ！！！」

「翔平うるさ。」



突然の翔平のカットイン。

確かに煩い。



「かくかくしかじか。藤原樹は彼女の声を録音している、と。」

「うわー。きしょ。」

「なんなんすか。もう。」



ていうか！



「北人さん、いつの間にAと仲良くなったんすか。」

「さあ？いつだろうね。」

「勝手に会ったりしないで下さいよ。」

「どーしよーかなー。」

「ほんとやめて下さい。」



読めない。ホント読めないこの人。



「まあまあ、ワタクシも偶にはAと飲みたいものですなあ！」

「は？」

「いやいや、付き合いはワタクシも長いですから、ええ。」

「そういう問題じゃないし。」

「元々ワタクシの幼馴染でしょ！？」



あーめんどくさ。



「藤原樹が無視しますー。」



もう翔平のことは黙らせておいて下さい壱馬さん。


って、壱馬さんもニマニマしてるし。


はあ。やだやだ。



マースとAに癒されよ。




＿＿＿＿＿周囲をガン無視して再び動画を再生する藤原であった。



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