SHORT STORIES from THE RAMPAGE

RIKU (1) ページ4

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( 同い年 × 元カノ )



「え？」



海外での撮影の為に搭乗した飛行機。


離陸前、お決まりの注意事項の時間。


顔を上げると見覚えのある顔。


自分が知っているよりずっと大人で、バリバリのキャリアウーマン感があって、制服が、お洒落なスカーフがとても似合ってる。



やば、泣きそう。




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離陸して暫くして席を立ってもよくなってから、トイレに行くフリをして席を立つ。


CAさん達が色々準備してる辺りをなんとなくウロウロして。


その時を待った。



「あの、すみません。」

「はい。どうされましたか。」

「A、俺、」

「・・・仕事中だから。ごめんなさい。」

「こっちこそ、ごめん。」



Aはカートを手にして背中を向けた。


行ってしまう。


何か言わないと。


でも、言葉が出て来ない。



「陸。」

「え？」



懐かしい、自分の名前を呼ぶ声がした。



「GO ONもTHROW YA FISTも行ったよ。凄く格好良かった。」



VBA4の合宿前、一緒に過ごした最後の日、Aが伝えてくれたことを思い出す。



《月並みだけど、ずっと陸の１番のファンでいさせて。》



オリコンで週間１位を取ったら連絡すると、会いに行くと決めていた。

シングルを７枚出させて貰ったけど、まだそれは叶っていない。



ありがとう、そう言いたいのに声が発せない。

震えて、言葉にならない。

ボロボロ涙が溢れて来て。情けなくて俯いた。



《待ってて欲しい。》なんて約束はしていない。



けど、



「キャンセイは、キャンセイを歌う時は、いつもAのことを想ってる。」



フライングだけど、少しだけ自分の気持ちを伝えてもいいよね？



「・・・うん。」



振り返ってくれたAを見上げると、とても優しい笑顔で。でも少し目が潤んでて。



「忙しいと思うけど、本当に健康には気を付けてね。」



はい、とハンカチを渡してくれて、仕事へ戻って行った。



今日はこのハンカチは返さない。会う口実に使ったら狡いかな。



必ず１位を取って、会いに行く。



改めて心に誓う。



《ありがとう》



さっき言えなかったことを、紙ナプキンに書いてトレーに乗せる。



近い日に直接言えるように俺、頑張るから。



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