�� ページ8
凪彦は煙硝蔵へ戻ってくるとぷりぷり文句を言いながら防火水を入れ直している安藤と苦笑いを浮かべている土井に声をかけた。
｢すみません遅くなりました｣
｢あれ？西園寺は風呂に行ったんじゃなかったのか？｣
｢えぇまぁ焚きにだけ｣
｢入ってくれば良かったのに｣
｢いえいえ、土井先生と安藤先生だけじゃ大変でしょう？｣
池を何往復するのも酷だろうと凪彦はほっぺを掻いた。
｢なんで私なんかが…｣とブツブツ文句を言っている安藤に凪彦はクスリと笑って｢だって安藤先生はどうやら何もやってないみたいですし｣と言った。
｢タカ丸を守ってくれたのはウチの滝夜叉丸と三木ヱ門、それと一年は組のあの子達、とどめは土井先生。貴方でしょう？｣
｢あ、あぁそうだが…｣
｢何もしてないなら手伝ってくださいね安藤先生｣
ニコリと笑ってさぁ続きを、と桶を安藤へ手渡した。渋面を作った安藤は仕方ないですねぇ…と呟いてから池から煙硝蔵を往復し始める。
｢でもやっぱり三人だけってのは大変ですね…｣
｢いやーもう少しで久々知兵助がくると思うんだが｣
｢久々知先輩ですか？｣
｢あぁ火薬委員会委員長代理だからな｣
何往復かしたあと、大変さに疲れを感じてそう言えば、辺りをキョロキョロした土井がそう返事を返す。
凪彦がなるほどと呟けば、噂をすればなのかなんなのか、件の彼が遠くから走ってきた。
｢久々知先輩｣
｢あれ？西園寺も手伝ってくれてたのか？｣
｢はい、それと安藤先生も｣
凪彦が指さした先の安藤に兵助はぺこりと頭を下げた。
安藤は先程までの嫌味はなんだったのか、まぁ、教師なら当然ですよと得意げに胸を張った。
兵助が来てからは作業もスピードが上がり、四人ならバケツリレーが早いだろうとその法式に変えて着々と防火水が貯まっていく。
防火水を三分の二まで入れたあたりで、土井が｢後は雨に任せましょう｣と言い、作業が終わった。
煙硝蔵の前で一息ついていた凪彦は唐突に目を塞がれ、ワッ！と反射的に声を出した。
｢だ〜れだ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
墺士(プロフ) - めがねさん» コメントありがとうございます〜！頑張ります！！ (12月6日 22時) (
レス) @page41 id: c1f6311194 (このIDを非表示/違反報告)
めがね - 天才すぎる〜(*^^*)読んでてめっちゃ楽しかったです！更新頑張ってくださいね！ (12月6日 21時) (レス) @page41 id: 38b00d3ad6 (このIDを非表示/違反報告)
墺士(プロフ) - ななさん» コメントありがとうございます！がんばります！ (11月20日 0時) (レス) @page18 id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 面白いです！続きが気になります！ (11月19日 23時) (レス) @page18 id: 0c097a829e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：墺士 | 作成日時：2023年11月12日 0時
