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四年生対五年生 の段:2 ページ6

〜三郎丸side〜

始まりの合図が鳴る。
大将役には胸に"大将"と書かれた札を付けているらしい。

五年生は偽造等を禁止されているから、ある意味楽……かな。


「とりあえず、皆、絶対間違えないで」

「わかってる。優秀な私が間違う訳ないが」


滝夜叉丸は相変わらずだ。

毒は、二種類。
対兄さん用と、他五年生用。
間違えたら大変なことになる。



山道を歩く。
固まって動くのはよくないので、途中で二手に別れる。

滝夜叉丸、喜八郎、守一郎。
三木ヱ門、タカ丸さん、僕。

メンバーは前々から決まっていた。
というか、決めていた。



「! 止まれ!」


先頭を走っていた三木ヱ門の声に止まる。
目の前には


「ここから先には行かせない」

「く、久々知くん……!」


五年い組、久々知兵助先輩……!
僕の苦手な先輩の一人……!

苦手な理由は、ある日の夕餉に出た豆腐に味噌を塗りたくって食べたらめちゃくちゃ追い掛けられたから。
怖かった……。今でも怖い……。


「三木ヱ門! タカ丸さん! 先に!」

「行かせない!」

「させない!」


久々知先輩の寸鉄を、峨嵋刺で受け止める。


「三郎丸! 頼んだぞ!」

「む、無茶はしないでね!」


三木ヱ門とタカ丸さんを見送り、久々知先輩に蹴りを入れる。が、受身を取られ、寸鉄による反撃が来た。

それを右手の峨嵋刺で受け、左手の峨嵋刺で先輩の腕の関節を狙ったが、体を捻りながら先輩は避けた。
二、三歩退けた先輩は僕を見据える。


「……腹を狙うと思ってたが……腕か……」


久々知兵助先輩。
成績優秀。頭脳明晰。文武両道。
得意武器の寸鉄による接近戦が強い。

そんな先輩相手に立ち回れるのは、四年生の中だと正直僕くらいらしい。
この学園じゃ、一年の差は、とてつもなく大きい。
組み手だけなら、確かに僕は立ち回れる。
そう。組み手だけなら。なんとかなる。

けど、これはチーム戦。
なら、僕の仕事は。


「!」

毒を塗った針を三本投げる。一本だけ先輩の腕に刺さった。
すぐに距離を置く……が、追い付かれる。
知っている。わかっている。

厄介なのは久々知先輩だけじゃない。
六年生と対等に戦えてしまう兄、次郎丸だって強敵だ。
だから………

「待て!」

え。待って。怖。
顔怖。待って。


なんで豆腐持ってるの!?

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作者名:架空以内 | 作成日時:2024年3月17日 20時

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