四年生対五年生 の段 ページ5
〜次郎丸side〜
本当は今日は四年生対三年生だったはずだが、三年生の名物方向音痴組が下見で行方不明になったとかで変更になったらしい。
なお、二人はその日のうちに見つかりはしたらしいが。
「次郎丸〜」
「勘ちゃん」
五年い組、尾浜勘右衛門。
うどんみたいな髪型の、俺の茶飲み仲間。
「どう？ 三郎丸くんは」
「ん〜………さぁ？ まぁ、毒は使ってくるだろ。訓練用の」
裏裏裏山。
五年生は簡易な本陣を敷き、大将役を制限時間内に守り通す。
「雷蔵は？」
「三郎がいるから大丈夫じゃない？」
「三郎か〜。……三郎丸が嫌がるなぁ」
三郎丸は三郎が苦手だ。
まあ、わからんでもない。
あいつは、遊ぶ。弄ぶ。
"鉢屋"であるがゆえに。
「…………六条家と三郎の実家って、なにかあるの？」
「俺の知る限りは何も。………まあ、三郎が家のことを持ち出さない限りは俺も持ち出さんさ」
勘ちゃんにそう言って、俺は流星錘を持つ。
さぁて。
どうしようか。
接近戦なら三郎丸だろう。
中距離ならば滝夜叉丸が来るか。
いや、あいつはあの七松小平太先輩の後輩。
体育委員会。
あの先輩の、あのマラソンについて行くあのスタミナ。
戦輪が得意武器というだけで、苦無も使う。
体術も中々だ。
……嗚呼。
正直、滝夜叉丸のことは気に入っている。
自慢話は長いし、ウザいが、言うだけの実力はある。
それに、あいつは家のことを持ち出さない。
《平家》だから優秀なのではなく、《平滝夜叉丸》だから優秀なのだと云う。
嗚呼、嗚呼、羨ましい！！
毒を扱う我が六条家。
毒を精製し、毒を制し、毒と共に生きるしかない六条家！
六条でなければ、生きられない俺は
平家でなくとも生きられるお前が羨ましい！
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作者名：架空以内 | 作成日時：2024年3月17日 20時
