毒使いの兄妹は (ページ4)

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毒慣らしの段ページ4

〜三郎丸side〜

喜八郎に頼まれた、来週の実戦訓練に使う毒を調合する。
一応訓練用の、規約に基づいたものだ。

五年生が耐えうる毒。兄、次郎丸に効く毒。
この中間に丁度いいものを調合しなければならない。
痺れ薬もだ。

兄さんを基準に作ると他の五年生の先輩方には後遺症が残るし、かと言って通常基準にすると兄さんには効かない。

なので、竹谷八左ヱ門先輩を基準に調合する。
生物委員会は毒性を持つ生き物も扱うから、他の委員会に比べて毒慣らしが早い。
あと、八左ヱ門先輩は元々そういうのに強い方だし。

「三郎丸くーん……」

「はい」

返事をすると、障子が開いた。
少し顔色の悪い、タカ丸さんがとぼとぼ部屋に入り、戸を閉める。

「大丈夫ですか？」

「なんとか……。……でも、なんか、まだ頭が回ってるというか……」

座り込むタカ丸さんに近寄り、背中をさする。
ちなみに、彼の部屋は隣。僕は一人部屋。

「すごいね……皆、これしてるんだ……」

「本当は二年生の時にやるんですけど、タカ丸さんは編入生ですし、年齢のこともあって少し強めのを入れましたから……」

「三郎丸くんと次郎丸くんはもっと強いんだよね……」

「まあ……家が家ですから」

タカ丸さんは、今朝、初めての毒慣らしをした。
普通は二年生の時に、舌がピリッとするような弱弱しいのから始めるのだが、タカ丸さんは編入生且つ15歳。
強めのにしておかないとこれから先の毒慣らしができない。

ちなみに、生物委員会は一年生の時にやります。
ものすごく弱いのを。

「経過を診ます。気分とか、痺れとか、全部言ってください。あと、寝ていて異変を感じたら僕を叩き起してください。死にはしませんが、手足の痺れが残る場合があるので」

「うん、わかった」

「来週の訓練のことがあるので、次の段階はその後にしましょう」

「はーい」

布団を敷いて、寝る準備をする。
調合はまた明日。