六条家 の段:5 ページ19
〜次郎丸side〜
一連を語り終え、各々に視線を向ける。
戸惑いやら、なにやらで百面相。
「学園長先生は知っているの？」
「先生方はみんな知っている」
雷蔵に答えて、綾部を見た。
なにやらさっきから殺気が…………いや、ダジャレじゃなくて。
「………なんで、三郎丸は言ってくれなかったの？ 信用できなかったの？」
「ちがっ……わ、なくはないか。……僕が言わなかったのは事実だし……」
綾部にそう答えた三郎丸の顔が曇る。
「滝夜叉丸は気が付かなかったのか？」
「何かを隠している。気が付いたのはそれくらいだ。
風呂だってずっとこっそり入っていたのだ。私の実家に泊まる時もそうだったから、疑う余地もない」
田村の問いに滝夜叉丸はそう答えた。
俺は三郎の顔を見た。
「お前が知りたかったことは全部話したつもりだ、三郎」
「………………………」
「………これから、僕たちにどう接して欲しい？ 三郎丸くん」
黙りな三郎を横目にタカ丸さんがそう問うと、三郎丸は俯いた。
そうして、ゆっくり口を開いた。
「…………今までと、変わらずに接して、欲しい…………」
弱々しく呟く。
それを聞いた滝夜叉丸、田村は声を揃えた。
「「当たり前だ！！………真似するな！！」」
「僕たち四人、一年からの付き合いだし、別にどうってことないよ。…………でも、隠し事はなしね」
綾部がそう言うと、浜とタカ丸さんが顔を見合わせた。
「四年生って括りなら」
「僕たちもだね！ 僕は一応クラスメイトだし！」
………もしや、四年生マウント！？
………だが、まあ、いっか。
三郎丸は、いい友に恵まれた。
「俺達も変わらないよ」
「そうそう。お前がまーた雷蔵をいじめない限りは」
勘ちゃんと三郎がそう言う。
三郎とまともに話すのが、なんだか久し振りに感じる。
………腹の探り合いばっかだったからかなぁ……。
「いじめられて……たかなぁ」
「俺は組手で必要以上に殴られた覚えがある」
雷蔵と兵助がそんな会話をする。
一年生の時の話すんな。
「次郎丸と三郎丸がそれでいいなら、俺はそうする。
だから、二人とも、抱え込むなよ！」
「やだ……八がイケメン……！」
思わず乙女回路が回ってしまった……。
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作者名：架空以内 | 作成日時：2024年3月17日 20時
