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六条家 の段:2 ページ16

〜竹谷side〜

生物委員会の仕事として、飼育している動物や虫に餌をあげていたらすっかり遅くなった。
それだけだった。

風呂場に、三郎丸がいた。
それはいい。

三郎丸は、女の子だった。
驚きやらなにやらがいっぱいだったが、それよりも、体にある、針の跡や爛れた跡。変色している肌の色。

三年生の時まで頑なに皆と風呂に入らなかった次郎丸を思い出す。
あいつの時は、三郎と勘右衛門が発案した悪戯めいたものが原因だった。

「汚いだろ?」

なんて、普段兵助や雷蔵をからかっていた次郎丸が苦しそうに言うものだから、俺達は素直に謝った。
その時に

「三郎丸も同じなのか?」

と三郎が問うと次郎丸は

「俺よりひどいよ」

と、悲しそうに、苦しそうに、怒るように言ったのを覚えている。

それ以来、俺達は兄弟の体のことについて触れてこなかった。
……実際、次郎丸より三郎丸の方がひどい。





三郎丸の声を聞き付け、風呂場にやって来た四年い組の二人は驚きながらも三郎丸の側に駆け寄った。


「………滝夜叉丸は、知っていたのか?」

「何かを隠しているとは思っていました。確信はありませんでした。ですが、今は――――」


滝夜叉丸の視線の先には、俯く三郎丸。
綾部は珍しく、下唇を噛んでいた。




















着替えた三郎丸。
駆け付けに来た時には寝間着だった滝夜叉丸と綾部。
そして、風呂上がりの俺の四人は次郎丸の部屋に来た。

次郎丸も、俺と同じく一人部屋だ。

「あの……」

「三郎丸は黙っていて。……どうせ、ウソ、つくでしょ」

「………………」

綾部の口調に若干の苛立ちが見える。
それには覚えがある。

ずっと仲良くしていたのに、隠されていたこと。
それは、信用されていないのと同義だ。



………………だから、三郎は次郎丸を、六条家を、探りはじめたのか。

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作者名:架空以内 | 作成日時:2024年3月17日 20時

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