不運委員会 の段 ページ14
〜三郎丸side〜
食満先輩と一緒に保健室に行くと、伊作先輩と兄さんが仲良く頭や腕に包帯を巻かれ、布団にいた。
二人とも起き上がってはいるものの、まあまあ重傷だ。
「すまない、留三郎」
「だから気にすんなって」
「三郎丸、ありがとな」
「ううん。……あ、そうだ。兄さんにとっては朗報があるんだけど……聞きたい？」
「「？」」
夕飯を脇に置いて座る。
食満先輩と伊作先輩が顔を見合わせた。
「俺にとっては……？」
「うん。……今日の訓練、僕達四年生が勝ったから、五年生は後日補習だって。補習は、六年生が相手だって」
「マジで！？ よっしゃあぁぁ！」
「次郎丸、静かに！」
伊作先輩が注意すると、兄さんは「すいません」と短く謝罪し、目を輝かせながら夕飯に手を伸ばした。
「にしても、五年生に勝つなんて大したものだね」
「そうだな。どうやって勝ったんだ？」
伊作先輩と食満先輩にそう言われ、少し同級生が誇らしく思う。
「実は……――――――」
僕が一連を話終えると、食満先輩は頭を抱えた。
伊作先輩は顔が青ざめている。
「確かに次郎丸は保健委員……だが、三年生からだろ……？」
「三年生から僕といることが多かったから僕の不運が移ったのかも……」
「いえ、兄の不運は元々です」
そう。元々なのだ。
行きたかった茶屋に行くと臨時休業とか、そういうのがよくあったのだ。
「伊作先輩はともかく、ケマトメ先輩は気にしすぎです。
確かに滝夜叉丸とは全力で戦えなかったし、猪に飛ばされるし、伊作先輩にぶつかって落とし穴に落ちるしで、まあ散々でしたけど。結果的に四年生に負けましたし。
でも、七松先輩と戦える機会が巡ってきました」
夕飯を食べ終え、手を合わせた兄さんはそう言った。
目が、めちゃくちゃギラついてる……。
「いや、かなり不運すぎるだろ……ってかその略称ヤメロ」
「いやでーす」
食満先輩。兄さんは、一応あなたに懐いてるんですよ。
ええ。
尊敬はしていませんが。
懐いてるだけです。
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作者名：架空以内 | 作成日時：2024年3月17日 20時
