六条家の兄弟 の段 ページ2
「綾部ーーーーーーーーーーー！！！！！！」
落とし穴からの叫び声。
声の主は、五年は組の六条次郎丸。
「六条次郎丸先輩！ 大丈夫ですか！？」
「乱太郎！」
次郎丸は穴から飛び出し、武器を両手に持った。
彼の得意武器、流星錘だ。
「四年い組の綾部喜八郎を知らんか？ 灸を据えてやる……」
「お、落ち着いてください〜……」
「俺は落ち着いている」
「どこがですか……」
次郎丸の目は据わっていた。
乱太郎はなんとか宥めるが次郎丸は聞く耳を持たない。
「あ、いたいた。乱太郎、土井先生が探していたよ」
「四年は組の六条三郎丸先輩」
六条三郎丸。次郎丸の実弟である。
「三郎丸！」
「な、なに、兄さん……」
「綾部はどこだ！？」
「え？ また喜八郎の穴に落ちたの？」
「そうだ！ だからどこにいるか聞いている！」
「さすがにわからないよ……。とりあえず、乱太郎は土井先生が呼んでるから……」
「あ、はい！」
返事をした乱太郎を見送り、三郎丸は次郎丸にため息をついた。
「はぁ……喜八郎の件は今に始まったことじゃないでしょ……」
「だからよけい怒ってんだよ、俺は」
「僕からも喜八郎に言っとくから……」
「滝夜叉丸にも言っとけ。綾部と同室だろ」
「………………」
三郎丸がジト目で次郎丸を見つめると、次郎丸は首を傾げた。
「なんだ？」
「いや……。……兄さんが保健委員会の後輩以外で名前呼びする後輩って滝夜叉丸ぐらいだよね」
「……………………………そうかぁ？」
「無自覚だったの……？」
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作者名：架空以内 | 作成日時：2024年3月17日 20時
