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「なあカズ。」

ライン引きを終えた俺は、担任のゴリラに仮病を使って保健室で寛(くつろ)いでいた。

薄いカーテン越しの声は聞こえていないふりをして、構わずゲームを続ける。


「カズ起きてんだろ?」

イラついている。

シャッとカーテンが開けられよく知った顔と目があった。
ぱっちりおめめ、太い眉毛...濃い顔。

「なんですか潤くん。わたし体調ふりょーなんですけど。」

...うそ。
むしろ今は絶好調超だ。
なんとなく目が合わせづらくて俯いた。


潤くんが唇を噛んでいる。
...昔からの癖だ。

泣きたいほど悔しいとき、彼はいつもこうする。

何度か口をモゴモゴさせた後、ぼそっと彼は呟いた。

「...今年は...」

眉間にしわが寄っている。

「今年はやっと智にいが来てくれるんだぞ!!」

保健室に潤くんの声が響きわたった。
外ではまだ、体育祭の準備を進めている声がする。

潤くんの言葉が、俺の耳のなかで木霊した。

一瞬の静寂を破ったのは、俺の方だった。

「...それで?どうしろって言うんです。」

「どうしろってそりゃ!!」

食い気味に潤くんはしゃべってくる。

「なんで...なんで折角...折角智にいが来られるのに」

ギッと歯軋りがした。


「カズさ、まだ昔のこと引きずってんの...?」
「!!違う!!」

勢いよく飛び起きて潤くんの胸ぐらを掴んでやった。
目の前に潤くんのつらそうな顔が見える。

「じゃあなんで!!なんでいつもやる気無さそうなんだよ!!」

潤くんも俺の胸ぐらを掴んで言った。
力が強い。

双子なのに...俺の方が、お兄ちゃんなのに。

「てめぇには分かんねえだろうな...いつもちやほやされて育ってきたお前には!!」

顔を歪めた潤くんは「もういい!!」と俺に向かって叫んでから保健室を出ていった。

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羅瑠亜(プロフ) - しば☆さん» そうなんです!私もこれ、投稿してから気付きまして、お話の一番最後に謝ろうかな~と思ってあえて直しませんでした。じっくり読んでくださるなんて感激です(T T)ありがとうございました! (2015年12月27日 5時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
しば☆(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!読み返してて思ったんですが、3の潤くんの先輩のパスが~ってやつなんですけど、これって高3設定ですよね?間違ってたらすみません!(TT) (2015年12月27日 2時) (レス) id: ff7e12661e (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます(*^^*)嬉しいかぎりです♪これからもどうぞよろしくお願いいたします^^ (2015年12月23日 22時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - 初めまして。とても素敵なお話しで、いっきに読ませていただきました。更新は大変だと思いますが楽しみにしています。 (2015年12月23日 21時) (レス) id: 0ef3f92166 (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - 美唯さん» 落花に引き続きありがとうございます。頑張ります!(^-^) (2015年12月13日 20時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年11月24日 12時

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