<<the past>> ページ40
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いつもの席の順に座る。
あの日から変わったのは、自分の席のとなりに大好きな彼がいないこと。
そっといつも彼の座っていた椅子に触れてみた。
...もちろん温もりなんて、感じられなかったけれど。
依然、リビングには重い空気が漂っている。
俺たちを呼んだ張本人の父さんが、
これから話すことをためらっているようで
なかなか話を切り出さなかったからだ。
空気が俺たちを支配してしまったかのように、
誰も、喋らない。
いや、喋れなかった。
目の前に座る父さんが、
...あまりにも辛そうな顔をしていたから。
誰も、"どうしたの?"なんて
軽い言葉はかけられなかった。
聞きたくても、
声が喉で引っ掛かってしまったように、
出すことができなかった。
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「...さとしは、
俺の、
大切な息子だ。」
どれくらい経ったのだろうか。
父さんは、ゆっくりと静かにそう言った。
「...それは、
例え、
足が、動かなくても...
決して...変わることはない。」
どくん、心臓が、波打った。
うそ。
うそ。
なにを、
父さんは、
父さんは、なにをいっているの。
「なに...それ」
目の前で、大きな瞳を揺らしながら翔にいが言った。
マサキと潤くんは、今にも泣き出しそうだった。
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"あんなにひどい事故だったんだろ?
歩けなくなっててもおかしくねえよ!"
脳内で、
聞きたくもないあいつの声が、
重く、響いていた。
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羅瑠亜(プロフ) - しば☆さん» そうなんです!私もこれ、投稿してから気付きまして、お話の一番最後に謝ろうかな~と思ってあえて直しませんでした。じっくり読んでくださるなんて感激です(T T)ありがとうございました! (2015年12月27日 5時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
しば☆(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!読み返してて思ったんですが、3の潤くんの先輩のパスが~ってやつなんですけど、これって高3設定ですよね?間違ってたらすみません!(TT) (2015年12月27日 2時) (レス) id: ff7e12661e (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます(*^^*)嬉しいかぎりです♪これからもどうぞよろしくお願いいたします^^ (2015年12月23日 22時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - 初めまして。とても素敵なお話しで、いっきに読ませていただきました。更新は大変だと思いますが楽しみにしています。 (2015年12月23日 21時) (レス) id: 0ef3f92166 (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - 美唯さん» 落花に引き続きありがとうございます。頑張ります!(^-^) (2015年12月13日 20時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧 | 作成日時:2015年11月24日 12時