検索窓
今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:278,715 hit

3 ページ4

なぜこんなことに全力をつくさなければいけないのだろうか。





俺は(いやいややらされた)ライン引きをしながら一人思う。

親の代より長く使われているだろうこれは

すでにタイヤが上手くまわらず

一歩歩けばまた戻るという面倒な作業をしなければならない。

おかげで大好きなゲームを手放してからすでに15分以上も経っているというのに、
引けたのはたったの30メートルくらいだ。

がこがこと音をたてて上下するそれが俺の不快感を一層強く際立たせる。

思わず感情的になって背中に前蹴りをいれてやった。

当然、バコッと音がし、はずれた隙間から白い石灰が溢れてくる。


...ぁーあ。




はぁ、とひとつため息をつき、壊れたライン引きを渋々直す。

.....それもこれも、全部は一ヶ月後に行われる、



年に一度の体育祭のせいだ。








「「絶対優勝するぞーー!!!おーーっ!!!」」


一人ライン引きをする俺を横目に、

どこかのクラスが円陣を組み気合いをいれている。

そんな奴らを冷めた目でみている俺は、良く言えば大人びているといわれ、
悪くいえばさめているといわれる。
...実際よく言われているのは後者だが。

最近はそんな俺に愛想をつかしたのか、声さえもかけられることは少なくなった。


...簡単にいえば、近寄りがたい人種という奴なのだろう、俺は。

やっと直ってくれたライン引きを、がこがこと音を立てながら引きはじめた。




「舞賀ー!!いー走りだったぞー!!」
遠くからバカでかい声が響く。
、別に振り向かない。

だって、俺のことじゃねえし。



「ありがとうございます。でもそれ先輩のパスがよかったからじゃないですか。」
「またまたお前ってやつは〜。」

聞きたくもない会話が、するすると耳に入ってくる。

うるさい、うるさい、

虫酸が走る。

ライン引きに込める力が、自然と大きくなっていた。



呼ばれた彼の名前は舞賀潤。
俺と双子の、顔も、性格も、全く違う俺の、弟。


今回の選抜リレーで、期待のかかった選手なんていわれているらしい。

...もう三年目だというのに。




彼は日向の人間、

俺は日陰の人間。

揶揄するなら、こんな感じだろう。

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (129 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
286人がお気に入り
設定タグ:大野智 , 二宮和也 , 舞賀家
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

羅瑠亜(プロフ) - しば☆さん» そうなんです!私もこれ、投稿してから気付きまして、お話の一番最後に謝ろうかな~と思ってあえて直しませんでした。じっくり読んでくださるなんて感激です(T T)ありがとうございました! (2015年12月27日 5時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
しば☆(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!読み返してて思ったんですが、3の潤くんの先輩のパスが~ってやつなんですけど、これって高3設定ですよね?間違ってたらすみません!(TT) (2015年12月27日 2時) (レス) id: ff7e12661e (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます(*^^*)嬉しいかぎりです♪これからもどうぞよろしくお願いいたします^^ (2015年12月23日 22時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - 初めまして。とても素敵なお話しで、いっきに読ませていただきました。更新は大変だと思いますが楽しみにしています。 (2015年12月23日 21時) (レス) id: 0ef3f92166 (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - 美唯さん» 落花に引き続きありがとうございます。頑張ります!(^-^) (2015年12月13日 20時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2015年11月24日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。