<<the past>> ページ26
母さんの葬式が終わったあと、
俺は今までに増して、
智にいにべったりになっていた。
「さーとにぃ。遊んでください!」
「んー?いいぞー。何する?」
洗濯物を干していても、
夕御飯を作っていても、
掃除をしていても、
何をしていても俺は智にいにかまってくれと、ねだっていた。
「おいおいカズ。
智にい今洗濯物たたんでんだから
ちょっとくらい待っててやったら?」
翔にいのあきれた声も気にしていなかった。
...智にいはきっと、
自分が母親代わりになろうと、必死だったのだと思う。
だから俺は、智にいに存分に甘えた。
...幸せだった。
「さとにぃすごい!!この魚、さとにぃがかいたの!?」
画用紙に描かれていたのは、水族館の魚の群れの絵。
色鉛筆の淡くて優しいタッチが、智にいらしくて好きだった。
兄弟たちに誉められて謙虚にも照れている彼が、大好きだった。
そして。
「さとにぃ頑張れ!!」
小学校の恒例行事の
リレー大会なるものが毎年7月の始まりに行われていた。
彼はいつも、
アンカーだった。
足が速かったのだ。
アンカーのたすきをかけて走る彼の姿は、
いつ見ても、かっこよかった。
自分も彼のようになりたいと、必死に練習した。
でも、そんな完璧にも思える智にいは
...ある病気を抱えていた。
「...ゲホッ...ゴホッゴホッ」
「さとにぃ!!」
... 先天性気管狭窄症
簡単に言えば、
生まれつき気管が細いというわけだ。
でも、そんな簡単に治せるような病気ではなく
彼は生まれてすぐに手術をしていた。
小学校高学年にもなり
走れるまでは回復しているものの、
やはり走ったり、動きすぎたりすると
寝込むことが多かった。
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羅瑠亜(プロフ) - しば☆さん» そうなんです!私もこれ、投稿してから気付きまして、お話の一番最後に謝ろうかな~と思ってあえて直しませんでした。じっくり読んでくださるなんて感激です(T T)ありがとうございました! (2015年12月27日 5時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
しば☆(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!読み返してて思ったんですが、3の潤くんの先輩のパスが~ってやつなんですけど、これって高3設定ですよね?間違ってたらすみません!(TT) (2015年12月27日 2時) (レス) id: ff7e12661e (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます(*^^*)嬉しいかぎりです♪これからもどうぞよろしくお願いいたします^^ (2015年12月23日 22時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - 初めまして。とても素敵なお話しで、いっきに読ませていただきました。更新は大変だと思いますが楽しみにしています。 (2015年12月23日 21時) (レス) id: 0ef3f92166 (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - 美唯さん» 落花に引き続きありがとうございます。頑張ります!(^-^) (2015年12月13日 20時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧 | 作成日時:2015年11月24日 12時