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「で?なんで二人は遅いの?」

ズスズッと勢いよくラーメンを啜った兄は口をモグモグさせながら問う。
その姿はまるでクルミを口一杯にふくんだリスのようで、思わずにやけてしまった。

「マサキはバイト。潤くんは...準備です。」

少しためらって話す。
俺も勢いよく麺を啜った。

ちなみに両方とも俺が作った(作り直した)やつだ。

「...体育祭の準備か。」

少し間をおいて言った兄は、もう一度ズズッと麺を啜った。
俺の顔は見ず、ラーメンをどんどん消費していく。
余程お腹がすいていたのだろう。


...逃げられない。

今日も俺が仮病を使って家に帰ってきたことを彼は分かっている。

彼は家族のことだとなんでもお見通しなのだ。

「今年最後なんだろ?いい加減やる気でも出したらどうだ。」
人生一度きりだぞ。と翔兄は、付け足した。


「...別にこんなことで無駄な力使いたくないんで。」
ごくごくと勢いをつけてスープを飲み干す。
スープの熱さで喉がヒリヒリと焼けた。

暫くの静寂。
.
.
.


「...なんで今日こんなに早く帰って来れたんですか。」
話題を替えよう、そう思った。

「ああ、智くんが今日検査だったから付き添ってたんだよ。」
いつのまに食べ終わっていたのか、彼は箸を置き夕刊を手にしていた。
その姿はまるで、おとうさん、のようだった。


「...大丈夫だったんですか。」
正直、智にいの話題は...きつい。

智にい...舞賀智。
舞賀家の長男で、家の親がわり。
ここ数年は、入院している。

「うん。このままいけば、



体育祭の頃に一時帰宅できるらしい。」

「え...。」
兄の言葉にドクンと胸がなった。

嘘だろ。
ってことは自然と...智にいが俺達の体育祭をみにくることになる。


それだけは...絶対に避けたい。

「...やっと智くんが見に来られるんだ。
元気に動いてる姿、見せてやれよ。」

...嫌だ。

俺の中では焦りしかうまれてこなかった。


兄さんの前で走る?

...そんな事が出来るものか。





だって彼は、


......足が動かないのだから。

3→←1 <first story>



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羅瑠亜(プロフ) - しば☆さん» そうなんです!私もこれ、投稿してから気付きまして、お話の一番最後に謝ろうかな~と思ってあえて直しませんでした。じっくり読んでくださるなんて感激です(T T)ありがとうございました! (2015年12月27日 5時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
しば☆(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!読み返してて思ったんですが、3の潤くんの先輩のパスが~ってやつなんですけど、これって高3設定ですよね?間違ってたらすみません!(TT) (2015年12月27日 2時) (レス) id: ff7e12661e (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます(*^^*)嬉しいかぎりです♪これからもどうぞよろしくお願いいたします^^ (2015年12月23日 22時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - 初めまして。とても素敵なお話しで、いっきに読ませていただきました。更新は大変だと思いますが楽しみにしています。 (2015年12月23日 21時) (レス) id: 0ef3f92166 (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - 美唯さん» 落花に引き続きありがとうございます。頑張ります!(^-^) (2015年12月13日 20時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年11月24日 12時

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