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「...」

沈黙の時間が刻々と過ぎていく。

彼はまだ、


あの日と変わらぬ優しい顔で笑っていた。

正直...気まずい。



巧く笑えないのか、


左頬がピクピク痙攣している。



「ありゃ。

なんでお二人さんこんなに静かなんだい。」


おどけて部屋に入ってきたのは

車椅子を片付けていた翔にいだった。


助かった。

もしこのまま二人きりだったら...






変な罪悪感で、


逃げてしまいそうだった。



「ふふ。しょぉくん あんがと。」

「いいえ。それよりさ、

どう...?

久々に、兄弟に会って。」


ちゃっかり智にいの隣に座って

寄り添っている翔にい。


「...かず、今何歳?」

舌っ足らずな声。



「18です。」

素っ気なく、答えた。


...目が、あわせられない。





「おっきくなったねぇ。」

しみじみと目を細めて言ったあと、

彼はまた、ふにゃふにゃと笑った。

ずき、と胸が痛んだ。



「...智くん、

なんかばあちゃんに似てきてない?」

「...そぉ?

ふふ。確かにそうかもね。

一年前は

ばあちゃんの家にいたし。」



...。

今の話から察した人もいるかもしれないが、



彼は十年間のうち、


全てを病院で過ごしたわけではない。


何度か退院し、

都会であるこの町よりも

空気の澄んだ所で生活していたことがある。


今は亡き、母方の親...つまり祖父母の住む家に、彼は暮らしていた。


...そっと仏壇の方を眺めた。


自慢の母親が、笑っていた。

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羅瑠亜(プロフ) - しば☆さん» そうなんです!私もこれ、投稿してから気付きまして、お話の一番最後に謝ろうかな~と思ってあえて直しませんでした。じっくり読んでくださるなんて感激です(T T)ありがとうございました! (2015年12月27日 5時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
しば☆(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!読み返してて思ったんですが、3の潤くんの先輩のパスが~ってやつなんですけど、これって高3設定ですよね?間違ってたらすみません!(TT) (2015年12月27日 2時) (レス) id: ff7e12661e (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます(*^^*)嬉しいかぎりです♪これからもどうぞよろしくお願いいたします^^ (2015年12月23日 22時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - 初めまして。とても素敵なお話しで、いっきに読ませていただきました。更新は大変だと思いますが楽しみにしています。 (2015年12月23日 21時) (レス) id: 0ef3f92166 (このIDを非表示/違反報告)
羅瑠亜(プロフ) - 美唯さん» 落花に引き続きありがとうございます。頑張ります!(^-^) (2015年12月13日 20時) (レス) id: 56711be44c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年11月24日 12時

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