1.彼 ページ2
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「ただいま……」
そんな疲れきった声を発しマンションのドアを開いたのは某事務所の事務員、大神万理だった。
ガチャン、と無機質な音を立てドアを閉める頃には先程まではいなかったであろう人影が。
「もーおっそい!!
ご飯? 風呂? どっちがいい?」
小さな身長の男が腕を組みながら怒ったような声を出した。が、直ぐに諦めたような表情になれば万理から荷物を乱暴に奪い取りながら主婦のような質問を繰り出した。
「ごめんごめん、色々と仕事が溜まってて……。
じゃあご飯、食べさせて貰おうかな」
荷物を奪われ手ぶらになれば脱いだ靴を揃えてから先にリビングへと歩きだした彼を後ろからそっと抱き締める。その身長差、ぴったり15センチ。
彼に離れろなんて言われるがそんなもの知らない。俺は疲れてるんだから甘やかせよ。そんな思考でちょっと無理かな、なんて笑って見せれば振り向いた彼との唇が重なった。
「いいから離れろ。万理隈凄いんだからさっさと寝るぞ。明日も仕事なんだろ」
呆然とする万理の手を引くようにリビングまで行けば流れるままに椅子に座らせられた。目の前には彼。
今更になってキスした事実が身に染みれば頭を抱えて呟くように零した。
「はぁ……本当にずるい……」
そう、ここに出た“彼”があの大神万理をもだらけさせることが出来る唯一と言われる人物であり、また大神万理が愛する人──所謂愛人と呼ばれる人間である“
。
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蓮苑クン - 最高です!是非是非続きが読みたいです! (2020年11月20日 9時) (レス) id: 6c5b1abd24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煽りんご | 作成日時:2019年6月3日 17時