「好き」をあなたに。

『赤』私たちらしくそのままで。 ページ21

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「あれ、Aそんなの付けてたっけ？」

『よく気づくね。今日から』

「彼氏？」

『ないない』




からかいの目にてきとうに笑って視線の先を変える。


いつも教室に中心にいる彼。

パチッと合った目に携帯を上げれば、照れくさそうにそっぽを向くから。

やっぱり照れ屋だな、なんて微笑ましくなる。





「本当に彼氏からじゃないの？」

『違うって。私最近彼氏と恋人やめたから』

「まじか。でも私Aの彼氏知らない気がする」

『言ってないもん』





教えて教えてと騒ぐ友達に呆れながらも、だから恋人やめたってば、と半笑いで返す。

別れたわけじゃない。なんなら今でも付き合ってる。





「重岡に聞こ」

「なんで俺やねん」

「仲いいじゃん」





ずいっと会話に入り込んでくる時点でバレてるよ。
ずっと盗み聞きしてたんだね。可愛いなあ。





「どう思う？てかそもそも知ってる？」

「あー…」





後ろ髪を掻いて、チラリと送られる視線。

ん？と頬杖をついて返せば、またそっぽを向いて。
顔を赤くしながら、知らんって答える。


バレちゃいけないわけじゃないけど、その方が自分のペースでいいねってなった秘密の関係。


こうやって大毅をからかうのも、実は案外楽しいの。

だってほら、嬉しそうに照れるんだもん。





「もう、A謎すぎ！」

『すみません、秘密系女子なんで。
ほら、チャイム鳴ったよ。部活いいの？』

「いや、よくない。また明日！」

『うん。頑張れ』





運命なのかなんなのか、このクラスの帰宅部は見事に私と大毅だけ。

最初は二人とも入ってたんだけどね。
長続きしなくてやめた。

理由も同じって結構ときめくんだ。

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