「桃」恋は遠くに愛は身近に。 ページ3
Main __ K.Nozomu
『ああ、今日もかっこいい…』
「またそれかいな」
『だってかっこよくない？』
俺の方がかっこいいわ。なんて毒を吐きつつ、彼女に文句を言われないように曖昧に同意しておく。
惚れっぽい彼女は、これまでに何人の先輩に恋をしてきたんだろう。
隣にいる俺でも数え切れないほどだ。
そのくせ、同級生や後輩には目がいかないのだから、彼女を想う者はみんな隠している。
結構モテんのにな。
『やっぱり私なんかじゃダメだよね…』
「どうやろな」
告白されないからか、彼女は自分に自信がない。
だから隠してるんやって、みんな！！
周りを見渡せば、ほら、こっちを見る男なんていくらでもいる。
…そりゃ好きになるよな、こんな美人。
『告白しようかな』
「…そ」
『どうしたの、具合悪い？』
「いや。別に元気やで」
『そう？』
好きな人は結構変わるけど、好きになった人みんなをちゃんと好きになってる。
それが、彼女の好かれる理由の一つだったりもする。
こうやって気遣いができるのも男子にとっては大事な要素やねんな。多分。
「A」
『ん？』
「なんもない」
『えー？何よ笑』
あーあ。俺の意気地なし。
振られることは目に見えてるから、敢えて告白しないっていうのもほんまにズルいんやけどさ。
隣は、誰にも譲りたくない。
「教室行ってる」
『おっけー』
残り僅かな昼休み。
教室に帰ると、そこで食べている人は少なくて。
みんな違う所で食べてるみたいや。
「…これくらい、ええかな」
決して近くはない彼女の席に行って、ちょっとだけ。
…俺の字やってバレるなこれ。まあ、いいか。
『あ、望』
「おかえり」
しばらくすると彼女が帰ってきた。
その頃にはザワザワとしていて、教室を出ている人はほとんどいなくなっていた。
『…ん？』
少し離れた席から、彼女の様子を伺う。
なんか書いてある。
まあいいや、とりあえずお弁当片づけよう。
そして落ち着いたらその文字を読み始める。
目を見開いて、ばっとこっちを向く。
「…あーあ、バレた」
当たり前か、なんて思いながら、彼女の驚いたような顔に笑顔を見せる。
一挙一動が面白い。分かりやすすぎる。
チャイムの合図で、授業が始まった。
好き。
それが一ヶ月経っても残っていたことに驚いたのは、秘密にしておこう。
___Fin
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 239人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凜憧(プロフ) - 一波さん» 一波さん！いつもありがとうございます(´ｰ｀)こちらこそ、今年も沢山の励みをありがとうございました！一波さんも良いお年を(^ワ^=) (2019年12月22日 15時) (
レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - のんちゃんの最新作両片思いで焦れったくても〜！って、やきもきしちゃいました！今年も素敵なお話たくさんありがとうございました(^^)よいお年を(^^)素敵な (2019年12月22日 6時) (レス) id: b7aae62310 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - お返事ありがとうございます！こちらこそ面白いお話ありがとうございます！これからも楽しみに待ってます！ (2019年10月4日 23時) (レス) id: 00967ad8ca (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 一波さん» ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです、頑張ります！こちらこそ閲読いただいてありがとうございます！ (2019年10月4日 19時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 私を覚えていてください。今読みました！すっごく後に引くお話だったので新作として書いてくれるの嬉しいです！ステキなお話ありがとうございました。 (2019年10月4日 0時) (レス) id: 00967ad8ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
