「橙」大好き故に、見れません。 ページ19
Main __ K.Akito
「なーあー」
『無理』
「なんでなん？」
『無理だから！』
声だけで分かる不機嫌さ。
分かってるよ。原因も、あなたの疑問も。
でも、
「一回でええから、目合わして？」
『本当に、無理』
私だけを見る顔は恥ずかしくて直視できない、なんて理由を言えるはずない。
みんなの輪の中で笑ってるその向日葵みたいな笑顔に心惹かれて好きになった。
幸運にも、振り向いてもらえた。
でもその笑顔が私にだけ向けられると、どうしても、目を背けずにはいられなくなる。
「お願い！どうしてもダメやったらええからさ。
顔上げて、目見してくれへん？」
そんな困ったような声で言わないで。
胸がぎゅっと苦しくなる。
ほら、頑張ってよ、私。
離れていってほしくないでしょ。
愛想尽かされたくないでしょ。
彼の笑顔、ちゃんと見られるようになりたいでしょ。
『…』
伝えなきゃ。
不器用だとしても、あなたに伝えたい。
好きだよって。大好きなのって。
『一回しか、言わない』
「え？」
『もう一回とか、なしだからね』
「お、おん」
ぎゅっと閉じていた目を開けて、息を吸い込んで。
『照史くんが、好き』
ほんの一瞬、絡んだ視線。
とんでもなく間抜けな顔になるのがおかしくて。
視線を逸らしたあとで、笑っちゃう。
そんな顔も、するんだね。
初めて見れた。
「それは、ずるいやん」
へなへなと座り込む彼に合わせるように、私も座る。
びっくりしたように私を見つめる愛おしい彼から目を逸らさないように、見つめ返す。
『これでも、たえてるの』
「へ？」
『本当は今も、恥ずかしくて逃げたい』
恥ずかしさをぐっと堪えて、薄紅に染まった彼の頬をむぎゅっと摘んでやった。
きっと私もこのくらい真っ赤になってるんだろうな。
なんて思いながら。
「いひゃっ、！」
『こっちの気も知らないで…』
「…やっと、見ひぇくれた」
『格好いいセリフも台なしだね』
「ほんまや！はにゃ……っ、！」
ちゅっと音を立てて重ねた唇。
また見れた間抜けな顔に、顔だけ後ろを向けて、また笑い出す。
『ふふ、あははっ』
ああ、やっぱり好き。大好きだから。
もうちょっと待って。
ちゃんと、あなたの目を見て一緒に笑い合えるようになるから。
「な、なっ、」
『あーほ』
だからそれまで、私のことを好きでいてね。
___Fin
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凜憧(プロフ) - 一波さん» 一波さん！いつもありがとうございます(´ｰ｀)こちらこそ、今年も沢山の励みをありがとうございました！一波さんも良いお年を(^ワ^=) (2019年12月22日 15時) (
レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - のんちゃんの最新作両片思いで焦れったくても〜！って、やきもきしちゃいました！今年も素敵なお話たくさんありがとうございました(^^)よいお年を(^^)素敵な (2019年12月22日 6時) (レス) id: b7aae62310 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - お返事ありがとうございます！こちらこそ面白いお話ありがとうございます！これからも楽しみに待ってます！ (2019年10月4日 23時) (レス) id: 00967ad8ca (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 一波さん» ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです、頑張ります！こちらこそ閲読いただいてありがとうございます！ (2019年10月4日 19時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 私を覚えていてください。今読みました！すっごく後に引くお話だったので新作として書いてくれるの嬉しいです！ステキなお話ありがとうございました。 (2019年10月4日 0時) (レス) id: 00967ad8ca (このIDを非表示/違反報告)
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