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俺か、僕か 青真side ページ32

「__それじゃあっ……また今度ね!」

「ばいばぁい」

「またカフェにでも行こうねっ、青真くんっ」


「うっす……」



テキトーな返事をすると、彼女達は一瞬怒りを露わにしたような顔をした。
俺が焦って愛想笑いに戻すと、鏡みたいに彼女達も笑う。

大きく振られる手に振り返して、彼女達が完全にいなくなった後。


ここにいる事すら出来なくて、俺は Aさんと別れた場所へと走り出した。



「っ、クソ……」
早くも息が上がりそうになるほど、全速力で走る。


貴女は、あの時、どんな表情をしていた……?
貴女は、あの時、何を思った……?

そんなこと聞いても、無駄か。
もう、貴女の言葉も声も思い出せなくなってしまった。
……いや、思い出したくないの方が正解だな。



「Aさんっ‼」



貴女を思い出してしまえば、貴女の思いが分かってしまうから。
逃げたくもなってしまうほど、俺は小心者だから……

誰もいなくなったBAR前には、ジメジメとした空気だけが漂う。
アスファルトの濡れていく匂いが、いつにも増して水気の多い匂いだった。



「雨、か」



自分の宝石箱の中で輝いていたものすべてが、誰かに取られたような気がする。
雨と相俟って、脱落感が身体中を埋め尽くしていた。

そんな俺を叩き起こすように鳴ったのは、携帯の着信音。
ぽつぽつと水玉に濡れていくディスプレイには、橙と表示されていた。



「……はい、もしもし」
一瞬出ようか迷ったけど、通話ボタンを押してしまったからにはもう遅い。
弱音を吐くような声で応答した。

数秒の沈黙の後、橙の言葉が聞こえてくる。


「早く来ないと……奪っちゃう、から」
震えてる?怖がってる?怯えてる?

曖昧な声音が聞こえる中で、奪われてしまうモノは簡単に分かった。どの問題よりも簡単で、誰よりも大切な貴女。



「……奪われるなんて、絶対させねえから」
強く宣言をした。
こうなった以上、橙と 貴女が一緒にいる事は確実。

「……やれるもんなら、やってみてよ」
今度は力強い声音が聞こえてくる。
あぁ、本気を出したんなら こっちも本気でやってやるよ。



……待っててください、Aさん。



「Aさんは、俺のもんだから」

「Aは、僕のものだから」



二人で奪い合いの宣言をした後、通話口からブツッと切られた音がする。
プープーと耳元で鳴る音は、まだ苦手のままらしい。

ふっと遠くの景色を睨んでから、上がる息を殺 して俺は走り出した。

存在を繋ぐガラス板 橙side→←何色 橙side



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神應寺 将輝@白狐&雪犬(プロフ) - 自由自在に色変わる=カメレオン (2018年2月2日 18時) (レス) id: fc6b8aa6a8 (このIDを非表示/違反報告)
れやーと(プロフ) - 神應寺 将輝@白狐&雪犬さん» 毎度毎度コメント有難いです…! なるほど、その考え方もあるのですね。ちなみに私は、自分に合った色に染まりたいです。期待だとか、夢の色だとか……何かの言葉通りじゃなく、自分自身が表せるような色です。要約すれば 自由自在に色を変化させていくって事ですね。 (2018年2月1日 3時) (レス) id: 560fb3554a (このIDを非表示/違反報告)
神應寺 将輝@白狐&雪犬(プロフ) - 何色に染まりたいか。僕は黒だな。孤独の色 (2018年2月1日 0時) (レス) id: 29ea05fe68 (このIDを非表示/違反報告)
神應寺 将輝@白狐&雪犬(プロフ) - 応援頑張ります(。・ω・。)ゞ (2018年1月19日 14時) (レス) id: b4c20837f1 (このIDを非表示/違反報告)
れやーと - 神應寺 将輝@白狐&雪犬さん» コメントありがとうございます〜!!ちょっとそのお話は自信がなかったんですけど、切ないと言っていただけて何よりです(笑)これからも応援宜しくお願い致します! (2018年1月17日 18時) (レス) id: 560fb3554a (このIDを非表示/違反報告)

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作者ホームページ:http:/  作成日時:2017年12月6日 19時

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