兄貴のくせに 橙side ページ30
「＿＿眠たい……」
ストーブの前で温まっていたら、眠気が急に襲って来た。
読んでいた本を栞もせず 机に置いてベッドにゴロンと転がり、仰向けになる。
兄貴の家から出てから、数十分。
あんなにわちゃわちゃしていたのに、今じゃもぬけの殻みたいな僕。
引っ越してきた時は質素な部屋が大好きだったのに、時にこの部屋は嫌悪感で埋め尽くされる。
「……あ」
仰向けの状態で目を動かすと、ふと本棚の上のアルバムが視界に入った。
遠くからでも、埃が被っているのは分かる。
「何だろ」
僕の身長じゃ、ギリギリ上に届かない。
一階にある物置の倉庫に脚立はあるけど、取ってくるのは面倒だなぁ……。
良し、ベッドからジャンプしよう。
「おりゃ！」
アルバム目掛けて、ぴょんっと兎みたいに飛ぶ。
アルバムは手に取ったけど、バランスを崩して そのままベッドにダイブした。
「いってて……あれ、これって」
運命の出会い的な……
まぁ、そんなの無いんだけど。
僕が見つけたのは、幼少期 Aと撮った写真が入れられているアルバムだった。
最後に見たのは……多分、数年前。
だって、これを見た記憶が一つもないから。
ワクワクしながらページを一枚めくると、
「……僕、気持ち悪」
気持ち悪い僕の姿があった。
可愛くもない、ブッサイクな僕。整形でもしたのかな。
「あ、Aだ……」
幼い頃の面影は、今でもある A。
大きな口を開けて、ハンバーガーを美味しそうに頬張っている。
「可愛い、な」
いつしか、どこにいても Aの顔を思い出すようになった。
大学に行って、サルみたいに騒ぐ野次馬……こほん、女子達の顔を見ても
��Aの方が可愛いな��
なんて、最低な事を思う。
それにゲームをして楽しむ Aは、僕だけのものなんだって最近は思い始めた。
独占欲、じゃないけど……
僕は誰が好きなんだって考えた時には、真っ先に Aが頭の中に浮かんだから。
「くそおおっ」
きっと、好き。
ううん。絶対、好き。
あの笑顔も言葉も全部僕だけのモノにしていたくて。
兄貴なんかに、奪われたくなくて＿＿
「……兄貴？」
まさか、兄貴のデート相手は……A？
いや、まさか。
そんなはず、ないでしょ。
「……クソ兄貴が」
兄貴は、全部僕の欲しいものを奪っていくんだ。
兄貴のくせに。兄貴のくせに。
「あー」
……お兄ちゃんの、くせに。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
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神應寺 将輝＠白狐＆雪犬(プロフ) - 自由自在に色変わる＝カメレオン (2018年2月2日 18時) (
レス) id: fc6b8aa6a8 (このIDを非表示/違反報告)
れやーと(プロフ) - 神應寺 将輝＠白狐＆雪犬さん» 毎度毎度コメント有難いです…！ なるほど、その考え方もあるのですね。ちなみに私は、自分に合った色に染まりたいです。期待だとか、夢の色だとか……何かの言葉通りじゃなく、自分自身が表せるような色です。要約すれば 自由自在に色を変化させていくって事ですね。 (2018年2月1日 3時) (レス) id: 560fb3554a (このIDを非表示/違反報告)
神應寺 将輝＠白狐＆雪犬(プロフ) - 何色に染まりたいか。僕は黒だな。孤独の色 (2018年2月1日 0時) (レス) id: 29ea05fe68 (このIDを非表示/違反報告)
神應寺 将輝＠白狐＆雪犬(プロフ) - 応援頑張ります(。・ω・。)ゞ (2018年1月19日 14時) (レス) id: b4c20837f1 (このIDを非表示/違反報告)
れやーと - 神應寺 将輝＠白狐＆雪犬さん» コメントありがとうございます〜！！ちょっとそのお話は自信がなかったんですけど、切ないと言っていただけて何よりです（笑）これからも応援宜しくお願い致します！ (2018年1月17日 18時) (レス) id: 560fb3554a (このIDを非表示/違反報告)
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作者ホームページ：http:/ 作成日時：2017年12月6日 19時
