【Dust tale】今日もまた、繰り返す

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昔、そう、お父さんがいなくなってからお母さんは少し可笑しくなっていたんだ。



その時の私はまだ小さかったから色んなことに気づけていなかった。


『ねぇ、お母さん！お父さんは？まだ帰ってこないの？』


何も知らない私にはそう言うしかなくて。


「…あぁ、A。来てくれたのね。お父さんは……もう少し帰るのが遅くなるみたい。大丈夫。きっと帰ってくるわ。」


お母さんにはそうやっていつも誤魔化されていた。


でも日にちが過ぎるごとにつれてお母さんは元気がなくなっていく。


そんなある日、お母さんは私に言ったんだ。


その時は…そうだなぁ、私が寝るときに読み聞かせをしているときだった。


「お母さん、夢を見たいのよ。


　お父さんがここにいる夢。3人で笑いあって静かに暮らしているの…。


　辛い時ほど夢をみてみたくならない？


　…ねぇA。あなたはどんな夢がみたい？きっと、素敵な夢よね。」


その時のお母さんの目は濁っていて、少し怖かった。


だけどこれはきっと、大切な話だと分かった私は…。



***





『ｯはぁっ…！ぁ、あぁ…！！』


ハッと我にかえる。


私は今何をしていたの？何を見ていた？


どうして今、お母さんの話を思い出した？


二人が目の前で戦っているのに、お腹が痛いのに、何を呑気にしているの？


ダメッ！駄目だめダメだめっ！！！！止めなくちゃ、でも、でもっ…！！


頭がこんがらがって、どうしたらいいかわかんなくって。


「ｻﾞｻﾞｯ…大丈夫ｻﾞｯ…だ、A。ｻﾞｻﾞｯ…ｻﾞｯ次に目を開けるときは安ｻﾞｻﾞｯな所だかｻﾞｯ…。安心すｻﾞｻﾞｯ…のだ。」


私はそのまま、意識を手放した。

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