【文スト】憂鬱【太宰治】

さよならが最期［レン］ ページ17

◆

彼女の消えた空の向こう側を、じっと見つめていた。目を瞑る。彼女のことが思い出したくて仕方なかった。

『太宰さん！』『太宰さん？』『太宰さん……』

『太宰さん』

なのになんで。

なんで。

(彼女の声が、欠片も思い出せないんだ)

死者を忘れる時は、声が先ず記憶から霞み、優しい表情が見えず、そして忘れてしまうらしい。余りにも早い忘れは、彼女が禁忌を犯した代償だろうか。

忘れたくない。

太宰は何かに頼み込んだ。縋る主義も喘ぐ主義もないが、ただ何かを願わなければやっていられなかった。彼女は消えていく。

「ねえ！！！！」

◆
「太宰、想い人の件は如何なったんだ」国木田が問うた。
「想い人？え？私は全女性を想って──」
「アンタに女が出来た話が前に上がッたじゃないか」
「……？はい？暫く誰とも付き合ってはいませんよ？」

太宰は与謝野の追求に首をかしげる。おかしいな、と太宰は笑った。

ただ表情の翳りが残っていた。

今でも指にはまった指輪の意味を探している。

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遅くなりましたー！新作出してたら……完結になります！もふちゃんからも何かあるかな？私は満足です！神と合作で来て！楽しかったです！

ありがとうございました！！

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