聞かせたくなかった話、十三。 ページ13
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太宰は街を疾走する。自分が傷つけたばかりに、Aは攫われた。今まではこれが最適解だと考えていたが、そんなのは浅慮だった。
(無事でいてくれ、A……!)
報告に上がった街のはずれの倉庫まで走る。Aの残影が街に焼き付いて消えない。不穏な考えは消えちゃくれなかった。
車なんてわずらわしい。
太宰はただ走る。
愛しい妹のために。
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「桜……情報なんてないこと、知ってるだろ?」
「あちゃー……太宰幹部が仕込んでると思っていたのにね。ま、しゃあない……記憶操作して帰すよ」
「必要ない。手遅れだ」
淡々と、僕と桜は会話をする。最後の言葉に桜が驚くが、ハッタリかと受け流した。嘘じゃないのに、と僕は思う。
放置したまま桜は何処かへ去っていった。
このまま僕は倉庫で一人、朽ち果てるらしい。寂しくも辛くも悲しくもない。怖くも、ない。
だけどさ。
最期にわがまま、聞いて欲しいんだ。
「兄さま……会いたいよ……っ」
涙が、嗚咽が。
止まらない、止まれない、もう辞めにできない。体温を奪っていく何かが毒だと気づけないほどにおかしくなってしまった僕は、こんな時ですら兄を望んだ。
莫迦だと笑え。
阿呆だと蔑め。
肉親に会いたくて何が悪い。これから永遠の微睡みの中なのだ。いいじゃないか。
「A……!!」
ふと、シャッターが開けられた。聞き覚えのある低い声に耳を傾け、這った体を如何にか転がす。
そこには、兄がいた。
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すげぇ空きました……すみません。次回最終話です。ほんと、すみません……
聞かせたくなかった話、おしまい。→←聞かせたくなかった話、十二
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ゆちよきし(プロフ) - レンさん» おおっ!お久しぶりです!あの、レンさんでしたか!同名の作者の方かと思っていました(笑)いえいえ!誰でも体調崩すときはありますから大丈夫ですよ!元気になったら、ツイッターで喋りましょう! (2019年1月21日 20時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ゆちよきしさん» ゆちよきしさんお久しぶりです!コメントありがとうございます!体調管理なってなくてすみません……一気読みは嬉しいです!今後も頑張っていきます! (2019年1月21日 19時) (レス) id: c18a6b747d (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 金平糖兎さん» コメントありがとうございます!どうにか復帰しました汗 体調管理下手ですみません…… 本日夜には更新すると思うので、気長にお待ちください^^ (2019年1月21日 19時) (レス) id: c18a6b747d (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 前作も、今作も一気に読ませていただきました。とても、面白くつづきが気になります。インフルの時に無理して投稿しなくても良いですよ、気長に待っていますし、お大事にしてください。作品、楽しみにしています!頑張ってください!初コメントで長文、失礼しました。 (2019年1月21日 0時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
金平糖兎(プロフ) - インフルエンザ辛いんで、むしろ一週間は休んでいいと思います!この小説の更新待ってます!早く元気になってくださいね笑 (2019年1月19日 19時) (レス) id: 4e8fb697e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2019年1月18日 18時