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1話なんて、きっと誰かの勘違い。 ページ2

【side A】

私の名は、島崎Aと云う。

敬愛する島崎藤村大先生から頂戴したその名は、私ごときには勿体無い。 なんて思ってた時期も、私にはあった。

東京駅はモダンな雰囲気のためか改札機が完全に浮いており、いっそ駅員さんが切符切ったら如何かと思ったが、仕事量凄そうなので云わないでおこう。

改札にカードをかざして通ると、ラッシュのせいで人混みが酷く、目が眩みそうになる。

私は、いわゆる『トリップ』と云う奴で此処、文豪ストレイドッグスの世界へと来た。

ただし、横浜ではなく東京。

東京で、異能者としてトリップしてきた。

前世(?)で小説家だった私の作っていた作品が今の異能になっていて、その異能をもとに現在働いている。

国の重要文化財であるその朱門のインパクトにも慣れて、普通に通り過ぎる。 まだ朝早いので、学生が電車に乗ろうと先を急いでいた。

出勤。 今日も平和__

「やばい、人が溺れてるぞ!」

隅田川の中に少年の姿。 なんだか恍惚そうに目を細めている。 おかしい。

近くの野次に、私は上着を預けて川に入る。 こんな所で異能力使って報道されてたまるか。

__

「ぷはぁ…… 今日も隅田川は素敵だった……」

さようなら。

がしっと、スカートの裾を掴まれる。 邪魔だ、退け。

「貴女が、僕の水泳邪魔したの?」

「あれは入水だ、阿呆」

__

セミロングの銀髪は濡れっぱなし。 ピンクのフレアスカートは、濡れてしぼんだ花のようになっている。 恐らく、私の緑の目はギラギラと怒りで輝いているに違いない。

私は、例の水泳(じゅすい)少年を担いで、事務所の扉を蹴破った。 横で目を真ん丸にした少年なんて気にしてたら終わりだ。

「ど阿呆父上! 居るか!?」

「おっA、来たか」

ど阿呆父上こと、島崎藤村はにんまりとこちらをのぞいた。 考えるのが阿呆になるほど、若い。嗅覚を完全に失った父は、案外飄々としていた。

嚙ませ犬たちの、語られなかった怪奇譚。 幕開けから、波乱の匂いしかしなかったが。

2話なんて、なかった。勘違いだろ?→←序章



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:レン | 作成日時:2018年4月11日 21時

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