一寸した逃亡劇と八話 ページ11
「……うーん」
こりゃ無理だわ、と軽くうつむく。ドストエフスキーに捕まったままなのはなんだか尺だが、このままむざむざと殺されるのもバツが悪い。
「話に乗ろっかなー、乗らないかなー♪」
これは俺の台詞じゃない。見張り役の___
「うるせえゴーゴリっ!手前の鳥籠厨二病ポエムバラすぞ!」
「え、なにそれ?ん?」
あれである。あの、なんか十四巻の。
「で、如何するんだい?」
「如何するもこうするも、早く云えばdead or aliveって事だろ?」
「違うよ、それ生きてるか微妙な奴☆」
間違えた。live or deadだった。生きるか死ぬかという意味。生を量りに掛けるなんて………
「ずりーぞ!ゴーゴリ!」
「え、提案ドスくんでしょ!?」
「え……じゃあ、何したら逃がしてくれるよ?胸触る?」
なんかもう思考回路吹っ飛んだ。逃がしてくれるなら別に善いや。
「女の子なの?え?」
「一寸縄取れ、逃げんから」
今まで舐められないために隠していたが、まあ致し方ない。
ゴーゴリが縄を外す。
結わえてあった長い髪を外す。あの時__此奴に成り代わった時から伸ばしていたのだ__をサラリと流し、服をそっと落とす。ゴーゴリが見ている中、パサリと落ちた服にゴーゴリは驚きやがった。
「一寸……そんな恥じらいもなく……」
顔が赤い。おかしいぞゴーゴリ?
そうしてサラシが露出する。下は残ったままだから勘違いすんなよ?
「ゴーゴリ、向こう向く!」
「……っ!はい!」
なんか従順なお犬さんみてーだ。可愛いな。撫でたろうか?
サラシを外し、その下に着ていた下着が姿を見せる。そして包帯を放り、上を着る。
「おら見ていいぞ」
「う、うん……っ。………っ!!」
なんだか様子がおかしいぞ此奴。あれか?風邪か?
「え、嘘……」
可愛い、と云った声とゴーゴリの胸の高鳴りはAの裏切りに少々掻き消された。
「ちょ、え?」
Aが扉へ走り込み、扉を破る。
「逃げるんだよっ!じゃあな!」
逃がすものか、とゴーゴリは急いだ。
この救われない世界の、唯一の救いなのに。
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あ - あの頬に傷がある少年はカルマという子ですよー (2023年1月12日 23時) (レス) @page16 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2018年7月27日 21時