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Aside



突然だった。


帰ろうと思って玄関に行ったら、まだ彼の靴が残っているのを見つけた。

折角だし一緒に帰ろう、と思って彼の教室まで足を運んだ。


ただそれだけのことだったのに…



「も〜!こんな事していいの〜?」




砂糖を煮詰めたような甘ったるい声。


声色から何となく何をしてるのか察して、教室に向かっている足を戻そうとした。

そのとき、



「可愛い可愛い彼女ちゃんはどうしたの?w」


「いーんだよ別に。あんなの顔がいいだけ」





…………え…?


それは、聞き間違えるはずもなく愛しい彼の声だった。


なんで…何で彼の声がするの……?



「ひっどーw

私あの子に彼氏奪われたことあんだけどw」


「Aなんかより君の方が僕にとっては可愛く見えるけどね」




「も〜!w」という愉しそうな声がしたが、すぐさまそれは女性特有の甲高い声に変わった。


なんで、彼が…ころんくんがいるの?


彼が言っていた言葉が私の頭の中を何度も何度もループして、どんどん私を侵食していく感じがした。


頭が、肺が、喉が、足が、全部がパニックを起こして何も考えられなくなる。


それでももうこれ以上、ここに居たくなくてただ夢中に走り出した。






嫌だ、嫌だ、嫌だ




彼にそう思われていたのが何よりも悲しくて、辛くて…


気付いてたら溢れ出していた涙も嗚咽も全部全部彼のためのものなのに。

彼は私じゃない女の子のために…




『〜っ…!!』




少しでも考えようとすると途端に胸が苦しくなる。


もう、このまま消えてしまいたい…



ただひたすらに足を動かし続けた。



ドンッ



『きゃっ、!』


「っわ、」




何も考えずに走っていたら、曲がり角の所で誰かにぶつかってしまった。




「ごめんなさい、ちょっと急いでて……



…………A?」




『…さ、とみ……』

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- あああああ…めっちゃ好きな展開です…!!!! (2021年3月23日 21時) (レス) id: 2080e60fec (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - この二人のドロドロ系、大好きだァァァァァァァァァァ!!!!最高ですっ! (2021年2月8日 18時) (レス) id: afebd09899 (このIDを非表示/違反報告)
ヨゾラ。@空色(プロフ) - あ、全力で追いかけますね。(ダークネススマイル【暗黒微笑】) ←50メートル走10秒 (2021年1月25日 23時) (レス) id: 434d8da963 (このIDを非表示/違反報告)
れも - ヨゾラ。@空色さん» 莉犬くんしか勝たん勢なんですすみません(( 上げられるほどの語彙力が見当たらないので逃げますね。ありがとうございますね!!【逃走中】 (2021年1月25日 21時) (レス) id: 4c4ba7dc8e (このIDを非表示/違反報告)
ヨゾラ。@空色(プロフ) - なんか3話目の雑談的なやつで急に莉犬くんぶっ込んできて頭こんがらがって笑ってました。(?)えーと、一言言います。好きです。語彙力下さい。 (2021年1月25日 13時) (レス) id: 434d8da963 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れも | 作成日時:2021年1月23日 19時

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