八 武装探偵社 ページ9
「茶漬けが食べたいです…」
その一声の後沈黙が流れたがそれを破る様に太宰さんは微笑んだ。
「餓死寸前の少年が茶漬けを所望か…!良いよー国木田くんに三十杯位奢らせようっ!」
「俺の金で太っ腹になるな太宰っ!!!」
『以下同文です…流石に財布流されるのはやばいですよ…太宰さん』
「…太宰?」
敦くんがそう呼びかけると彼はゆっくりと答える。
微風が外套を揺らす。
「嗚呼…私の名だよ…私の名は太宰…太宰治だ」
船の汽笛をそっちのけで私は"ある本"を読んでいた。
「全くお前と云う奴は…仕事中に「良い川だね」と云って飛び込む奴があるかっ!」
「お陰で見ろ!予定が大幅に遅れてしまった…!」
「国木田くんは予定表が好きだね…」
太宰さんが云った瞬間国木田さんは"理想"と書かれた手帳を机に叩きつけた。
「これは予定表では無い…理想だっ!我が人生の道標だそしてこれには仕事仲間が自 殺愛好家とは書いていないっ!!」
手帳をとんとんと指差し、太宰を叱りつけた。
「2(○÷%・7%4-」
「煩いっ!食費計画の頁でも俺の金で小僧が茶漬けを食うとは書いていないっ!」
「6(*(4…(・(09#4☆,-」
「04%#☆>6%々(%(…♪〜$|%7#|・(°-」
「今日の仕事?軍関係の依頼だが…」
「えっと…なんで会話出来てるの?」
『太宰さん、貴方が言えます?』
「はぁ〜…食った〜もう茶漬けは十年は見たくない…」
「お前…っ!人の金でこれだけ食っておいて良くもまぁぬけぬけと…!!」
国木田さんの髪の毛自我持ってるよなぁ…
「本当に助かりました…孤児院を出て横浜に来てから食べる物も寝る所も無く…あわや餓死するかと…」
そう云えば虎の正体が敦くんで…院長は隠そうとしていたのか…
『君…施設の出か』
「出というか…追い出されたんです…」
『…そうか』
「おいA俺達は恵まれぬ小僧に慈悲を垂れる篤志家じゃない…仕事に戻るぞ」
お昼ご飯を食べる暇が無かったけど…流石にお腹空いた…
「そう云えば軍関係の依頼と仰ってましたが何のお仕事を?」
敦くんが首を傾げ問うと真っ先に答えたのは太宰さんだった。
「なぁに…探偵だよ…「タンテイ…?」」
「探偵と云ってもペット探しや不貞調査では無いぞ…異能集団武装探偵社と云えば聞いた事はあるのではないか?」
「え__っ」
私は二人の言い合いを背景に本を静かに読む
敦は目を見開き、妙に焦った様な表情をしていたのを覚えている。
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作者名:黎明 | 作成日時:2023年9月22日 14時