二十九 着信 ページ30
『はぁ〜…そろそろ時間かもね、』
鏡花ちゃんが襲撃を受け、国木田さんから着信が来て数分経った
「時間って？」
首を傾げながら与謝野さんが私の言葉に反応をする。
『与謝野さん、
確か位置情報が写真で送られていた。
徐ろに携帯を取り出し、写真を確認すると…場所はここからかなり遠い。
いや…間に合う、
『異能力_暁月 羅生門____天魔天蓋っ…』
一番移動が早いが…身体が長く持たない。
私は一早く街に出て街を駆け抜けた。
ゴキッ…。
『〜っ…』
骨が逝った…手遅れになるけどそんな事考えてられない。
『国木田さん！賢治くん！敦くん！鏡花ちゃん！』
血の海の中、静かに気を失っている三人…
必然的に地に伏せている肌が焼け落ちた母が思い浮かんだ。
この世に過酷な事は無いとは云えない。
静かに彼等を背負い、再び歩き始めた。
だけど…
だけどなぁ…
でも…
もっと…
もっと…上手くできたら？
________過酷な事を
何度も
何度も
何度も
苦汁を味わって。
血の匂いが身体に付着する程。
人並みに味わって来たから。
だが
今は仕方が無いで済まされない。
必ず終止符を打つ。
愚の骨頂の様な考えだが…例え自らを犠牲にしても終わらせて見せる。
悔し涙を浮かべながら探偵社の扉を開けた。
???side
「嗚呼…白い渡鴉の真の用途は
無尽蔵の動力源だ。」
私は振り返ると
「と、云うと？」
牧師殿は不思議に思ったのか、模索する様に私に声を掛けた。
「彼女は無尽蔵…と云ってももう一つの異能を使う度滾りを見せている…
じゃあ彼女の異能を誰かの生命源になるとしたら？」
初めてその一人の少女の異能を知った途端、背筋が凍った。
闇の奥底を覗いている様な…否、此方が見られている様な…
金で奪えないのなら、無理矢理力で奪えば良い。
仕事の基本だ。
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作者名：黎明 | 作成日時：2023年9月22日 14時
