闇に葬られた記憶 ページ36
「と、父さん？母さん？」
家に帰ってきた少年は、信じられない、信じたくないという想いで二つの死体に向けて言葉を放った
「う、嘘だ……。あ、此処を離れないと。二人をやった奴らが捜してるかもしれない」
まだ、夢を見ている気持ちだが、確りと受け入れ此処を発たないと、そう思い準備に取り掛かった
果たして、準備している暇があるのか
家の中に犯人が潜んでる可能性もある
そのことを考慮せずに部屋に戻り、着々と準備を進めた
「魔導書は置いて行こう。荷物になるし。それにある程度は頭に入ってる。後は……ないか」
そうして、姿を陰で包み闇夜に紛れて村を出た
これが、彼が何でも屋をするようになったきっかけである
数年たったある日
β国で人を殺した青年と鉢合わせした
青年は彼を殺そうとしたが、魔法で影を縫われできなかった
青年は驚いて叫びそうになったが、それを堪え代わりにこう言った
「僕を軍に突き出すんか？」
「そんなことはしない。俺の命が危ぶまれるからね」
含みのある言葉を青年に返した
「ふーん。訳アリみたいやな。なぁ、見た感じ移民やろ？」
フードを被った青年は顔を輝かせた様子で問うた
「うん。ついでに言うと、不正入国してるから君を国に突き出すと、俺まで捕まる。そういった真似はしたくない」
軍に突き出さない理由を青年は話した
「分かった。そういえば、何をしてるん？」
好奇心からか、何を生業として過ごしているか聞いた
「何でも屋。武器の調達から暗殺まで。日常的なことも依頼されたらしている」
聞かれるとは思わなかったのか、少し驚いて答えた
「なぁ、強いん？」
「そこらの奴よりは強いんじゃない？分からないけど」
それを聞いたフードの男は戦いたい、とでも言いたそうに言葉を放った
「俺と、戦ってぇや」
めんどくさそうに何でも屋は、戦うために構えた
人知れずに闘いが始まった
これが、暗殺者二人組『インテルフィキオ』の出会いであった
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