【wrwrd】記憶のない彼は tre【男主】 (ページ21)

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二部「あったかもしれない記憶と日常」一話ページ21

はぁ、今日も疲れた～

本の整理は疲れる

？

何時もより眠気が酷いな

よし、寝よう←

夕飯どうしよ

ま、いいか……

暗転

No side

暗い場所で彼はゆっくり目を開けて呟いた

『此処、何処？』

見覚えのない場所で一人

『ほんまに何やねん』

気味が悪い、とでも言いたそうな顔をしてまた呟く

一筋、光が差したと思えば景色が変わった

『何処？何か見たことあるような……』

誰も聞き入れない言葉が虚空に吸い込まれる

見たことがあるということは、記憶の一部の景色なんだろう

『何や、これ……頭が……』

忘れた記憶を思い出そうとしている所為か、考えられないほどの痛みが彼を襲う

何を思い出そうとしているかは、何を思い出すかは誰も知らない

それは、本人でさえも

『痛みがあるということは、夢ではない』

痛みで夢ではないと自覚するも何故このような空間に居るか不思議である

空間操作系の魔法を使う者は友人で居なかったはず、そう考えている

『誰が俺に？まさか……記憶をもつ俺自身？』

心当たりはあるそう

〈正解。出来るだけ、早く思い出してもらわないと俺が蓄えてる記憶や元の魔力量、身に着けた魔法が全部消え去る〉

彼が気づいたことで何故こんなことをしたか説明した、元の彼

『成程。なら何故今日まで無干渉やったん？』

疑問に思ったことを言った

そりゃそうだろう。元の彼はいつでも干渉できたはずなのにエーミールが属性をかけていた今日、干渉した

〈干渉するには記憶の手がかりが必要でそれがなかったからできなかった〉

何度か試したような口ぶりで話した

『ふーん。そして、記憶に関わるエミさんの属性のお蔭で干渉できた、と』

察したように言った

〈そう。というわけだから、俺が忘れた記憶だけ今見せる〉

早速すぎないか？とでも言いたげな顔をAはした

〈だって時間がないんやからしゃーないやん〉

負照れくされて言った

その言葉の後、景色は暗転しAは意識を手放した

〈この記憶を見てもろても、俺が憶えてない記憶だから目が覚めたら忘れるかも〉

この言葉は誰にも拾われず、虚空に消えていった