十七話 ページ20
貴方side
『なぁ、エミさんも知ってたん？魔法の起源について』
em「知ってたと言うより読んだの方が正しいですね。文献に残ってますし」
え？
文献あんの？
em「恐らく大先生は実家でしょうし、確か書庫の奥の方に仕舞ってたと思います」
出してくんの大変そう
文献を探さずに聞いてよかったかも
『でも、何であんな渋々話したって感じだったん？やっぱJ国が支配受けるきっかけになったから？』
em「でしょうね。流石に自国が支配下に置かれるようになったきっかけを吹っ切って話す人は早々いないと思いますよ」
だよねー
よっぽど、自国を嫌ってない限り居なさそうだし
em「今はそっとしといてあげてください。ひとらんさんも吹っ切れてなかったですし」
『言われなくても分かってる。でも凄いよね。吹っ切ってないのに話すって』
em「ですよね」
話すことがない
失くす前なら何か話せたのかな
何か匂いがする？
『エミさん、何か匂いがするような気がするけど……』
em「え？匂い？どんな匂いですか？」
匂いに気づいてない……？
身体強化をかけていない筈
ならなぜ？
俺だけしか分からない？
em「……すみません。無意識のうちに貴方に属性かけてたみたいで……」
『それってかけられた人しか気づかない？』
em「はい」
成程……
『エミさんの属性って？』
em「“記憶ニ巣食ウ蝶”。相手の記憶を読むものです。蝶を相手に纏わせその蝶を経由して私も見れるようになっています」
なら、蝶の匂い？
em「恐らく蝶から発せられた匂いでしょう。人によって様々ですが、思い入れのある匂いが発せられます」
ふーん
思い入れのある匂い
なんだろ
漂ってる匂いは微かな血の匂いと書物の匂い
em「匂いにも意味があって、血の匂いは親族または大切な人との死別、書物は家の内装を意味しています」
？！
『な、何で？』
何で言ってないのに？
em「心理魔法と同時使用の属性ですから」
そ、そうだったんだ
『先に言ってくれや。驚くやん』
em「すみません。そもそもかけていることを忘れていたので」
年？
em「言うほどそんなに歳いってませんよ。トントンさんたちと近いです」
へー、そんじゃ俺とも近いんだ
em「そうなるんですね。そろそろ再開しましょうか」
『だね』
さーて、今日はどこまで進むかな
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