その男、公安委員につき②【ヒロアカ】 (ページ25)

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「オーバーパワーの許可を」
「……自分がどうなるか、分かってるの？」
「今は俺より！アイツらとオールマイトの命だろ！俺のことはどうでもいい！」
「……分かったわ。許可します」

　委員長の返事を聞き、更に全身に力を溜める。筋肉が悲鳴を上げ、焼けるような痛みが全身に走る。

「戦闘中に独り言ですか。随分と余裕ですね」

　そう言って近づいてくる黒霧の実態を掴む。

　言葉で表現するなら、目にも止まらぬ速さ、が一番合っているだろう。

「うるせぇ。俺は今、虫の居所が悪いんだ」
「なっ……？！」

　そう言って、全力で実態を蹴り飛ばす。数百m飛ばされた先で、動かなくなった黒霧を確認する。

　少し遠くに、相澤先生が倒したヴィランが起き上がるのが見えた。避難しているヤツ等に近づかせないよう、その群れに向かって一瞬で距離を詰める。

「行かせるかよ」

　そう言って、ヴィランが動き出す前に爪で切り裂いていく。再びヴィランが倒れた所で、死柄木に向かって距離を詰める。

「っ……脳無！」

　死柄木の言葉に反応した巨体――脳無が目の前に現れる。死柄木を庇うかのように蹴りを受け、吹き飛ばされていく。

「オイオイ、脳無ごと俺を吹き飛ばすとか、お前何者だよ……」
「そっちこそ、随分タフな怪物だな」
「……脳無、殺さない程度に殺れ」

　死柄木がそう言うと、脳無が距離を詰めてくる。
　とてつもないスピードだが、今の俺よりは遅い。

　脳無が拳を振るのを見てから躱し、その拳を爪で掴んで脚を振り上げ、頭に蹴りを入れて地面に叩きつける。

　脳無はムクリと起き上がり、拳が飛んでくる。

「クッソ、なんだコイツ。人じゃねぇだろ」

　俺はギリギリで躱し、再び蹴りを入れる。
　だがやはり、ムクリと起き上がってくる。

「その通り、そいつは改造人間だ。それと渡り合うお前もお前だ。体弄られてんだろ？」
「……嫌なこと言ってくるね、お前」

　一瞬動揺したが、その言葉を聞いてるのは誰もいない。俺は気にせず脳無との攻防を続ける。

　脳無の攻撃を躱し、蹴りを入れる。が、直ぐに起き上がって再び拳を振ってくる。

「コイツ、まるで効いちゃいねぇ……何の個性だよ……」

　死柄木が横から口を挟んでくる。

「ショック吸収と超再生だよ。お前の攻撃じゃ、ソレには勝てない」
「再生される前に攻撃を食らわせないと無理か……」

　だが俺の主体は蹴りだ。それは難しいだろう。