children ページ9
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「おい、寝癖くらい直せよ。」
カウンターに出ようとした時、松岡さんの手が触れた。
大きな掌は妙に心地良くて
「ここ刈り上げたらもっとかっこよk…」
「いいです。これで気に入ってるんで。」
すぐ坊ちゃん刈りにしようとしてくる
毎度出してくるこの話題には慣れた。
松岡さんの声を制して、髪の毛をわしゃわしゃと直した。
「ったく、そんな可愛い顔してんのに勿体ねぇ。」
「一言余計でしょ。」
「ははは、俺がガキの頃は流行ってたんだぞ？」
「はいはい。」
わざとニカッと笑みを作り
適当に相槌を打ちながらバーカウンターのグラスを分けていく。
松岡さんはそれを見て優しく目を細めた。
小さい頃から、
"可愛い" "いい子" だの
声をかけてくる大人達が怖かった。
大人になると小さな生命や花を愛でるようになる
それを可愛い、綺麗、汚(けが)れのないものと思い込んで。
輝きを放つものに囲まれ自由を手にしたいと
守るものと守られるものとの境目で、自分が必要だと
いつしかそう思わないと生きていけなくなる。
黙っていれば頭を撫でられ、欲を出さずにいれば
"しっかりしている" "いい子に育てられて"
俺はそういう大人が怖くて、本当の笑顔を忘れた。
仲のいい友達
頼りになれる人
全てに取捨選択をして、ここまで生きてきた。
だから
大人の言うことを聞いていれば
いい子を演じていれば
事は上手く進んでいくのだと信じて疑わなかった。
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pooh1221(プロフ) - 今、大学1回生のものです。中学３年の頃作者さん本人から占いつくーるの存在を教えてもらいました。今でもよく作者さんの小説を読ませていただいております。本当に文章表現が豊かで頭が上がりません。作者さんの更なるご活躍をお祈り申し上げます (2020年2月13日 16時) (
レス) id: 05dd12fe89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぱん | 作成日時：2019年11月11日 21時
