【Q/K】夕日が綺麗ですね。 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:13,977 hit

あなたがいないと　wtnb　バースページ9

ケーキバース。書いてみたかった。
＿

you side

『あっ、こうちゃん。』

わたしの番、こうちゃん。
彼はフォークでわたしはケーキ。

三日に一度、わたしと彼はデートしてそのあと食べられる。

いつも、こうちゃんは忙しくてデートの時、時間通りに来てくれたためしがない。
一人でぼーっと待つのにちょうどいいため、デートの前は喫茶店で待つことにしている。

「ごめんね。Aちゃん。また待たせちゃったかな。」

申し訳なさそうに謝る彼にわたしは軽口で返し、デートに行こうと立ち上がる。

『今日はどこなのかしら』

「おうちデートだよ。」

『あら、低予算。』

こうちゃんの家に行けると聞いて内心、夢かと思ってる。

『痛っ。』

夢じゃないな、これは。
ツーッと滴る血が筋を作っている。

「っ、誘ってるの」

『なんとおっしゃったの』

「誘ってるのかって聞いたの。」

『な、なんで。』

「自分の番に出血されたら耐えられないでしょ。」

あぁ、軽率だった。
自分はケーキなのだから出血にはとことん気を付けなければいけなかったのに。

「そんなおいしそうなにおい、させないでよ。」

『ごめん。』

「今日はたくさん甘やかす。」

もー、そんなかっこいいこと言わないでよ。
惚れちゃうじゃない。

わたしたちはただの番なのに。

恋人じゃ、ないんでしょう。

たっぷり甘やかされた後。
いきなり、指輪を出された。

「ねぇ、俺の奥さんになってくれませんか。」

まったく、直球で聞かないでよ。
浪漫もへったくれもないじゃない。

だけど。

『いいわ。夕日が綺麗ですね。』

「海が綺麗ですね。」

たしかに、わたしたちは溺れるような恋をしているのかもしれない。

互いに必要な存在だから。

fin.
＿
恋人の過程を飛ばしてるけど、それでいい。

わかれどころ。