誤解が解けた義眼の女子大生が東都水族館に行く話。【純黒の悪夢】

昏睡状態　友達side ページ40

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　「……結衣ちゃん…………！！」





　病院の廊下を駆けていた。





　ジン達からNOCの疑いが晴れ、フィズとして偽名で借りているマンションで待機していたら。





　ジョディから突如電話が入ったのだ。






　「キュラソー奪還は失敗した。




　けど、そこに結衣が巻き込まれた」と。





　受付で名前を言って、病室に全速力で走っていた。






　「結衣ちゃん！！」




　「お静かに。ご家族の方ですか？」





　「……親族は他県にいるので、まだこちらには来れません。私は友人です」





　「そうですか……すみません、では貴女から話していただけませんか。





　傷自体はそれほどひどくありません。




　後遺症も驚くぐらい少ないでしょう。





　強いて言えば、左足と左腕がやや複雑な骨折の仕方をしていますが、完治する範囲内です。
ですが─────────────






　患者が、目を覚まさない可能性があります」






　世界が凍りついたように感じた。





　「…………どういう、ことですか」





　震えた声しか出ない。





　「どうやら、事故のショック……と言いますか。





　余程絶望的な状況で、把握ができないで助けられたのでしょうか、





　自分が死んだ、と思い込んでいるようなのです」






　淡々と話す彼が、ロボットのように思えた。





　部屋を出ていった医師と入れ替わるように、結衣ちゃんの傍にいく。






　「んで……何で、勝手に諦めちゃうの！




　まだ死んでなんかいないんだよ！」





　バカ……！！





　泣きじゃくる私の前で、無機質な音だけが、不気味なほど白い部屋に響いていた。









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