ナベリウス・カルエゴと説教 ※心臓破り後、教師軸 ページ26
──授業終盤。鯨の吼えた声で状況を理解。
現場に急ぎ向かうが──
──既に遅かった。
「何をやっとるんだ貴様は!!」
「すみませんでしたぁ!!」
調子に乗ったAが問題児共と水魔術でふざけていたらしい。
オペラ先輩も止めることなく、辺りは水浸しで凄惨な光景となっている。
この惨状を作った馬鹿を正座させ、魔術で片付けをさせている最中だ。
「全部魔術でやってんじゃん……しかも無口頭。便利そ〜」
「ああいう生活の知恵みたいな使い方も出来るんだな」
「魔術は戦闘だけではありませんよ」
オペラ先輩が真っ当な授業を始める中、Aは顔面を崩しべそべそと泣きながら魔術を行使している。
「水浸しの土って処理が大変だよ〜、サウナしちゃダメ〜?」
「駄目に決まっているだろう、馬鹿が。やったら夕飯は出さんからな」
更には荒唐無稽な事まで言い出し始める始末だ。
自業自得だ、馬鹿かコイツは。
仮にも教師側だろう。
「とはいえ、魔力と恩恵が見合っていません。使うのは余程の不器用か、魔力が有り余ってるような悪魔だけですね」
「「「へぇ〜」」」
真っ当な授業に耳を傾けるのはいい事だ。
──『前提』が無ければだが。
ちなみに、オペラ先輩の言っている条件を、『最悪な事に』二つとも持ち合わせてるのがこの女だ。
ようやく土から水を抜き出し消滅させ終わり、図体が大きくなり続けた傍らの鯨が姿を消した。
「終わりましたか。お疲れ様です、お二人とも」
「あらら……カルエゴ先生、奥様なんでしょう?」
「愛が見えないでござるよ」
「粛に!甘やかすとロクな事にならんのだコイツは!!」
話題の中心である悪魔の頭を小突く。
当のコイツは「痛いよ〜」とおどけるだけで、反省の色が全く見えん。
腹が立った事もあり、Aの頭を鷲掴んで手に力を入れていく。
「ぁ、あ゙ぁー!待って!アイアンクローは死ぬ!痛い!首肩目のコリが限界なんです!!ツボが!!死ぬ!!!」
「ほう?なら思い切り解してやるから感謝しろよ」
「本当に仲がいいですね、お二人とも」
掴んだ頭から身体ごと持ち上げ、回収する。
「貴様ら、次の授業に遅れるなよ」
「「「はーい」」」
「離してっ!エギー!私死んじゃう!せめて下ろして!」
問題児の馬鹿共に釘を刺すのも忘れずに。
オペラ先輩も場を後にし始め、解散となった。
今回は反省しているのか、コイツはやかましいだけで抵抗は見せなかった。
俺から言わせてみれば、やかましいのもおかしな話だが。
モラクス・モモノキと奥さんの話 ※過去編→←ナベリウス・カルエゴの妻と実技魔術 ※心臓破り後、教師就任軸
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作者名:とある誰かの作品倉庫 | 作成日時:2023年10月13日 0時