後日談 Another ページ33
Aとリドルが『偽りの恋人』として過ごしてから、数日が過ぎた。
彼はいつの間に過ぎていったその日数で、かなり調子を狂わされていたのだ。
勉強をしている間、Aの言った言葉が離れず悩んだ。
何でもない日のお茶会に、居るはずの無いAの面影を探した。
Aが(おそらく仕事で)笑顔を他の人に振り撒いているのを見て、胸が痛んだ。
(恐らく、これが──恋？)
そう気付きはしたリドルだが、この感情がAを苦しめる事はわかり切っていた。
彼女は『クラルフ』。
それは、未来が決まりきっていて、自由も無く、意思さえも自分で決めてはならないという事。
クラルフの人間の全ては、邪神と共にある為に。
それだけは、部外者の一般人にも開示された、数少ない『クラルフ』家の情報だ。
結ばれる訳が無い、叶うわけが無い。
納得しようと、何度も自分に言い聞かせた。
けれど、そうすればする程、リドルの溜息は増えるばかりだった。
「そう簡単にはいかないものだね……」
昼休み。
呟いたリドルの視線の先には、一人で食事を摂るAの姿があった。
声をかけようか悩んでいた。
暫くすると、フロイドがAに話しかけ、近くに座って共にランチを食べ始めた。
(あのフロイドと食事……！？彼女の身が危ないんじゃないか？)
心配になるリドルの心境とは裏腹に、Aはフロイドと普通に食事を始めた。
特に嫌がる素振りも無い。
彼女の方向ばかり見ていたからか、誰かが肩を叩くまで、近くの気配に気付けなかった。
振り向けば、トレイが困った様な笑顔でリドルを覗き込んでいた。
「大丈夫か、リドル？」
「あ、あぁ……大丈夫さ」
「何何〜？リドルくん、どこ見てたの？」
そばに居たケイトが、リドルの視線の先を追う。
トレイもつられるように視線を追った。
何処か気恥しさが拭えず、リドルはふい、と視線をずらした。
「リドルくん、最近調子良くないかもって思ったら……そういう事かぁ」
「揶揄うんじゃないよ、ケイト」
「けどな、リドル。俺にもそう見えたぞ。相手は『クラルフ』か……」
「前途多難じゃん」
本人を置いて盛り上がる二人に、リドルは溜息を吐いた。
一度、Aとフロイドを見てから、視線を手元の紅茶に落とした。
その様子を眺めつつ、上級生二人はリドルの近くの席に腰掛ける。
「伝えるつもりは無いよ。負担になるだけだ」
優等生というものは、時に辛い道を選んでしまうようだ。
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とある誰かの作品倉庫(プロフ) - みーさん» わぁ、ありがとうございます！誤用しがちだったので助かります！ありがとうございます！ (2021年6月3日 20時) (
レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - すみまへんめちゃくちゃ誤字してました！謙遜する場合は「力不足」となります！本当すみません(泣) (2021年6月3日 15時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 初コメ失礼します！ページ25で夢主ちゃんが言っていた「役不足」は「役目が実力不相応に軽いこと」「与えられた役目に不満を持つ」となりますので、謙遜するのでしたら「役不足」が適任かと思います！楽しく読ませてもらっているのに初コメがこんな内容ですみません！ (2021年6月3日 15時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
とある誰かの作品倉庫(プロフ) - 43さん» 正解です！主人公の家柄はクトゥルフ神話系統の封印をしている設定になってます！気付いて下さり、またコメント頂きありがとうございます！ (2021年6月2日 11時) (レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
43 - お話の構造とか滅茶苦茶好きです…！もしかしてクトゥルフ要素入ってますか…？ (2021年6月2日 10時) (レス) id: 1d67640196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とある誰かの作品倉庫 | 作成日時：2021年5月27日 4時
