脅しで了承、雇用契約書 ページ4
私が遠い目になるのなんてお構い無し。
目の前の守銭奴タコはスラスラとそのよく回るお口を更に回し始める。
いつもより多めに回しておりま〜す、なんて大道芸のセリフが脳裏を過った。
「この男子校で数少ない女子生徒!やましい感情のある者が少なくないのは既に『相談』の中で判明しているんです!」
「はぁ……」
「Aさん、良いですか?あなた、一応は顔の造形も悪くありませんし、NRCの中では結構な高評価なんですよ。中庭での突発ライブの後の客入りが増える事で証明済みだ」
「女子生徒だからでしょう?珍しくないじゃないですか」
私の言葉を聞いたアズール先輩が、ため息を吐いた。
私は至極当然な回答をしたと思うのだけど……
ため息の後、アズール先輩は身を乗り出してから、私の顎と頬を引っ掴んで持ち上げる。
「そういう態度で自覚が無いから困るんですよ!自覚しろ!」
「い、いひゃ、いひゃいれふ、りょーひょー!あおはうれう!」
「外してやろうか!?あ゙ぁ!?」
「いひゃぁ〜!」
ガラの悪くなってきたアズール先輩は、私の抵抗を一頻り見た後、フンッ!と息巻いてから乱暴に私の顔を離す。
コレ、頼み事する人の態度じゃないよぉ……
プルプルと子犬のように震えながら頬に手を当てる私。
それを一瞥して、アズール先輩はもう一度ソファに座り直した。
「はぁ……そういう事ですから、あなたを「その日限りの恋人」として売り出せば、それなりに稼げるだろうと踏んだ訳です。ご理解頂けましたか?」
呆れと共に告げられた言葉。
拒否を許さない様な雰囲気の中、控えめに手を挙げて発言権を要求してみる。
「あのぉ……」
「何ですか?」
「後輩として、部下として……クソ生意気な発言をしても……?」
「……どうぞ」
「アホなんですか?」
頭を握られた。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」
ギリギリと悲鳴を上げ始める私の頭蓋骨。
握り潰す勢いで力をまだまだ込めるアズール先輩。
「誰がアホですか!そんな訳ないだろ!」
「いやだって!風営法とかどうするんですか!未成年がそんな事したら違法ですよ!」
「切り抜ける方法などもう既に考えてあります!Aさんは僕の言う通りに『ハイ』と頷けばなんら問題ありませんが!?」
「うわぁん!横暴タコ寮長〜!!!」
こんな抵抗も虚しく、私は契約書にサインを書かされた。
だって、同意しないと握り潰すって脅されたんだもん……仕方ないじゃん……
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とある誰かの作品倉庫(プロフ) - みーさん» わぁ、ありがとうございます!誤用しがちだったので助かります!ありがとうございます! (2021年6月3日 20時) (レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - すみまへんめちゃくちゃ誤字してました!謙遜する場合は「力不足」となります!本当すみません(泣) (2021年6月3日 15時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 初コメ失礼します!ページ25で夢主ちゃんが言っていた「役不足」は「役目が実力不相応に軽いこと」「与えられた役目に不満を持つ」となりますので、謙遜するのでしたら「役不足」が適任かと思います!楽しく読ませてもらっているのに初コメがこんな内容ですみません! (2021年6月3日 15時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
とある誰かの作品倉庫(プロフ) - 43さん» 正解です!主人公の家柄はクトゥルフ神話系統の封印をしている設定になってます!気付いて下さり、またコメント頂きありがとうございます! (2021年6月2日 11時) (レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
43 - お話の構造とか滅茶苦茶好きです…!もしかしてクトゥルフ要素入ってますか…? (2021年6月2日 10時) (レス) id: 1d67640196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とある誰かの作品倉庫 | 作成日時:2021年5月27日 4時