私はクトゥルフの贄なんです『小休止』 ページ24
朝。投稿時間を多少早めて寮を出る。
理由としては、珍しくイデア先輩からプライベートで呼び出されたからだ。
教室に荷物を置き、貴重品の類をポケットに入れてから中庭へ。
キョロキョロと見回して姿を探す。
「あﾞー……本当に無理過ぎんか？てかタブレットでも良いはずでは？いやでも取り敢えずパンピーの基準に合わせるべきだしそっちのが引かれなさそうですしおすし……」
──居た。
ベンチで三角座りしながら、微かに震えて縮こまっていた。
あの人、本当に何しに来たんだろ……
普通に目の前まで駆け寄る。
……気付かれる気配がない。
結構近くまで来たんだけどな……
「イデア先輩？もしもーし」
「ヒェッ！？A氏、いつの間に！？」
「え？さっきから居ましたよ。気付きませんでした？」
『すみません』と形だけ謝る。
生身のイデア先輩って珍しいな……チャットじゃ言い難い用事って言ってたもんね。
イデア先輩は私を見上げてから、足を下ろして地につける。
「と、隣……座らないの？僕みたいな陰キャの隣とか嫌だとは思うけど──」
「あ、いいんですか？ありがとうございます」
イデア先輩の僻みが始まる前に、促されるままベンチに腰かける。
──少しの沈黙。
深呼吸が数回聞こえてから、イデア先輩は話を切り出した。
「あの……少し、お聞きしてもよろしいですかな？」
「なんですか？」
「……A氏って、クラルフの中でどの立ち位置で？」
本来、そんなことを聞くのは家族か、身の回りを任される関係者だ。
しかし、どれにも該当しないイデア先輩が聞くって事は、目的はひとつだろう。
「イデア先輩」
「な、何？」
「……すみません。私、4柱の水、クトゥルフへの生贄なんです。だから、自由にはなれません」
イデア先輩は、目を見開いたまま黙っていた。
流石にここまでは予想外だよなぁ、なんて他人事の様に思う。
ふい、と視線を俯けると、イデア先輩は唸る様に『そっか』と口にした。
「そこまで上位の邪神とは思いませんでしたわ……そりゃ、この学園の特待生にもなるよね」
「そうですね。そういう意味では幸運でした」
「……じゃあ、せめて楽しい思い出を作らせてよ。拙者では、力不足かもしれないけどさ……」
『じゃあ、また予約しますわ。その時に』と、イデア先輩はそそくさと逃げてしまった。
……気持ちを踏みにじった様な運命を呪ったのは、これで何回目だろうか。
凄く、悔しかった。
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とある誰かの作品倉庫(プロフ) - みーさん» わぁ、ありがとうございます！誤用しがちだったので助かります！ありがとうございます！ (2021年6月3日 20時) (
レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - すみまへんめちゃくちゃ誤字してました！謙遜する場合は「力不足」となります！本当すみません(泣) (2021年6月3日 15時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 初コメ失礼します！ページ25で夢主ちゃんが言っていた「役不足」は「役目が実力不相応に軽いこと」「与えられた役目に不満を持つ」となりますので、謙遜するのでしたら「役不足」が適任かと思います！楽しく読ませてもらっているのに初コメがこんな内容ですみません！ (2021年6月3日 15時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
とある誰かの作品倉庫(プロフ) - 43さん» 正解です！主人公の家柄はクトゥルフ神話系統の封印をしている設定になってます！気付いて下さり、またコメント頂きありがとうございます！ (2021年6月2日 11時) (レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
43 - お話の構造とか滅茶苦茶好きです…！もしかしてクトゥルフ要素入ってますか…？ (2021年6月2日 10時) (レス) id: 1d67640196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とある誰かの作品倉庫 | 作成日時：2021年5月27日 4時
