私、ゲームには嘘つきません『イデア編』 ページ20
正直に言おう。びっくりした。
いや、最初はそのつもりだった。
だが、HNを明かしてから全く忖度していなかったのだ。
それなのに、そんな疑う事あるんだ……
放られたコントローラー。
ゲーム音楽と効果音。
それだけが、部屋を満たし始めた頃。
「もし、イデア先輩の言う通りなら……私は未来予知でも出来ないと駄目ですね」
汗ばんでくる繋いだ手。
私は視線を上げる。
イデア先輩は視線を下げてくる。
黄色い目が、まん丸く見開かれていた。
「……はい?それ、答えになってないんだけど?」
「答えですよ。あぁ、ちなみに。私は未来予知なんて出来ません」
「いや、だからどうしてそうなったんだよ。拙者の話聞いてましたよな?」
「聞いてます。私、ゲームには嘘つきません」
『伏せてることはあれど、嘘はつかない』ともう一度念を押す。
イデア先輩は片手を離して口元に持っていき、人差し指の爪を齧りながら呟く。
「何が言いたいかさっぱりなんですが?何?揶揄われてる感じ?やめてく──」
「私、先輩が「レンタル彼女」を買ったの、今日の今日、初めて知りました」
「デスヨネー。じゃないと若干ホラーでしょ」
「でも、『ネクラ侍』さんとゲームをするのは、数えるのが面倒になるほどです」
『ねぇ、イデア先輩』と呼びかけ、しっかりと見つめる。
ふい、と逸らされた視線。
しっかりと誘導する様に、イデア先輩の頬を撫でる。
「私、本当にイデア先輩とゲームするの、楽しいんですよ。仕事だからとかじゃない。いや……仕事である事を、忘れてしまいそうなくらい」
「……嘘、じゃないよね?」
「嘘じゃないです。きちんと、私も幸せですよ。人として、友人としてですが……イデア先輩の事、めっちゃ好きです」
『恋愛感情は無いですけどねー』なんて笑い飛ばす。
ふい、と画面に視線を戻す。
誤操作でポーズ解除されていたのか、ゲームオーバーしていた。
余計な事、言ったかな……
そう心配した時に、通されていた腕に力が込められる。
「……A氏」
「はい?」
「……陰キャって、チョロいんすわ」
「恋愛感情はナシでお願いします。今は応えるのが仕事ですけどね」
「……デスヨネ」
『本当、変わってるね』と深い溜息が上から降ってくる。
言い過ぎたかな?すまないことしたなぁ……
思った矢先、微かな笑い声も降ってきた。
「でも、嫌われてなくて良かった……ありがとう」
「どういたしまして、イデア先輩」
君達にはそれが当たり前なんだね『イデア編』→←君が優しいのは、仕事だからでしょ?『イデア編』
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とある誰かの作品倉庫(プロフ) - みーさん» わぁ、ありがとうございます!誤用しがちだったので助かります!ありがとうございます! (2021年6月3日 20時) (レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - すみまへんめちゃくちゃ誤字してました!謙遜する場合は「力不足」となります!本当すみません(泣) (2021年6月3日 15時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 初コメ失礼します!ページ25で夢主ちゃんが言っていた「役不足」は「役目が実力不相応に軽いこと」「与えられた役目に不満を持つ」となりますので、謙遜するのでしたら「役不足」が適任かと思います!楽しく読ませてもらっているのに初コメがこんな内容ですみません! (2021年6月3日 15時) (レス) id: 9c701de065 (このIDを非表示/違反報告)
とある誰かの作品倉庫(プロフ) - 43さん» 正解です!主人公の家柄はクトゥルフ神話系統の封印をしている設定になってます!気付いて下さり、またコメント頂きありがとうございます! (2021年6月2日 11時) (レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
43 - お話の構造とか滅茶苦茶好きです…!もしかしてクトゥルフ要素入ってますか…? (2021年6月2日 10時) (レス) id: 1d67640196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とある誰かの作品倉庫 | 作成日時:2021年5月27日 4時