赤いアネモネ【呪術廻戦】完結

''story_5'' ページ6

『なんでですか？』


五条｢簡単な理由だよ。若人(わこうど)から青春を取り上げちゃダメだからね。｣


『なるほどですねー。』



五条先生は生徒のことをよく考えてる。

認めたくないけど、いい先生だ。認めたくないけど。



五条｢今余計なこと考えたでしょ。｣



『べ、別にー？』



五条｢あ、袖落ちてきてる。僕が捲ってあげよう。｣



気づけばまたずり落ちてきていた白衣の袖を五条先生がくるくると捲っていく。



五条｢…反転術式の方はどう？｣



『あー…、まぁ。ぼちぼちと…。』



五条｢Aは攻撃性がないからなぁ。
てか、この白衣でかくない？Aが小さいの？｣



『どうにかして五条先生みたいな攻撃性のある術式反転を習得しようとしてるんですけどなかなか。
治療の方も完璧じゃないし…。

失礼ですね私は小さくないですよ。標準です。
白衣が大きいんですよ！』



五条｢なるほどねー。…はい、できた！｣



『…ども。』



スタスタと私の前を歩く五条先生。
その背中は広くて、あの体で多くの命を救ってきたんだな…としみじみ思う。

先生だけじゃない。真希も、棘もパンダも恵ちゃんも。



『せんせ…』



五条｢んー？｣



『私、強くなれますかね。…どんどん皆と差がついていってるんですよ。』



反転術式が使えるなんてただの肩書きみたいなのだ。実際は弱くて何もできない。

五条｢どしたの？Aらしくないね。いつものうるさいAは何処に行った。｣



『うるさい私は今寝てます。』



｢二重人格かよ。｣と笑う五条先生。
でも何だかんだ言いながらこっちに来て、目線を合わせてくれる。

くっそ。高身長の足長め。



五条｢Aは弱くなんかない。全力を尽くしてるならそれでいい。努力はいつか絶対に報われる。｣



『…ほんとですか。』



五条｢…んー多分。｣



多分かよ。



五条｢少なくとも僕はAが頑張ってるのを知ってるからね。｣



『パンダに投げられてるだけですよ…？』



五条｢あの時吹っ飛ばされて気絶したのは面白かったね！｣



『うるせーですよ！』



五条｢それに、朝から呪術の練習したり走り込みしたりしてるじゃん。｣



『なっ、なんで…！！』



五条｢なんで知ってるかって？…さぁ、何でだろうね｣



こっわ！怖いよこの人！目隠しで目が見えないから余計に！



『わ、私もう行きます…！』



五条｢あ、そう？僕はまだAとイチャイチャしたかったのにぃー｣



『イチャイチャなんてしてないし、しませんっ！！』



五条｢練習頑張ってねー｣

''story_6''→←''story_4''

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す